黒煤の侍
さて、SPは280。少なくは無いが多くもない。どうしようかな。
「スス、どういう力が欲しいとかある?」
『特には無い。だが……拙が振るうはこの刀のみ』
なるほどね。
「つまり、飽くまでも戦闘スタイルは刀のみが良いってことだよね」
『然り。火や水やと魔術を放って攻撃するのは性に合わぬ故』
うんうん。
「補助的なのなら問題ないかな? 例えば身体強化が出来る魔術とか。転移とか分身はどうかな?」
『……問題ない。直接的な攻撃手段は刀のみが良いが、それくらいならば』
良し、方針は決まったね。
「分かったよ。僕も君の剣技を腐らせるようなスキル構成にはしたくなかったしね」
取り敢えず分かっているのは彼が凄まじい剣の使い手だということだけだ。それを伸ばすにはどんな力が良いだろうか。
「うーん……これとかいいね」
雷騰雲奔。上級刀術とスキルレベルが五以上の瞬歩を条件に取得できる100SPのスキルだ。という訳で、90SP払って瞬歩をSLv.5まで上げ、このスキルを取得する。
転移系のこのスキルは条件が厳しいだけあり非常に効果は強力で、刀を持っている間は自身が把握している範囲までの転移が可能になる。要するに視界に入っていれば取り合えず転移は可能だ。流石にダンジョンから街に戻ったりするのは仮にリアルタイムで空間を把握できていても遠すぎて発動できないが、魔力も僅かしか使わず、ほぼクールタイム無しで転移が出来るこのスキルは非常に強力だ。
しかし、当然このスキルは無条件で発動できない。このスキルは、敵の視界内に入っている際しか使用できないのだ。つまり、敵の背後に回り込んでまた転移とかは出来ない。更に、移動用スキルとしても使えない。但し、逆に言えば相手の視界内であれば何度でも転移が可能なので、敵が複数いる際にはその本領を発揮するはずだ。
「これで190SP、残りは90……まぁ、そうだね」
残りは基礎的なスキルにしようか。跳躍をSLv.2まで取得させ、
「良し、出来たよ。今あげたスキルの説明、必要かな?」
『いや……不要だ。予想していた以上に強力な力だった。これは、戦闘方式を練り直す必要があるな……また、修行か』
チャキリ、ススは鞘から刀身を覗かせた。
「修行も良いけど、その前に付き合ってもらう必要があるんだ」
『あぁ。主の願いならば、何とでも』
片膝を突く彼に、僕はニヤリと笑って言った。
「あはは、良かったよ。それじゃあ、付き合ってもらおうか。冥界、その深淵……奈落の奥底までね」
『……相、分かった』
ススは言葉を絞り出した。
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