第240話 【弱体術師の旅路】③
食事を終えた俺はベッドの上でくつろいでいた。
(そういえばあの本最近読んでないな)
そう思った俺はメニューから【弱体術師の旅路】を取り出す。
「おっ! 追加されてるな」
俺はワクワクしながら続きを見ていく。
前の勇者の冒険譚ってなんだかラノベみたいでワクワクするんだよな。
それも主人公が俺と同じ【弱体術師】って事だから親近感が湧いて余計にのめり込んでいるのかもしれない。
「さぁてと...」
パラパラとページを捲り物語を楽しんでいると再び戦争のシーンとなる。
しかしやはりグリフォンは登場するものの、フワンとか言う存在はそこにはいなかった。
「なんだ、やっぱりいないのか」
正直言うとそちらの方が気になるのだが、仕方がないだろう。
そのまま順風満帆に旅は続いていき、エトランゼの洞窟で【弱体術師】のテイムスキルで吸血蝙蝠を仲間にし、エトランゼ高原で青い体表の鳥を仲間にしていた。
それ以前にもアルミラージを1匹テイムしているので、このパーティは勇者5人に魔物3匹のかなり強力なパーティと言えるだろう。
「俺と違ってテイム率もいいみたいだな...」
俺なんかあれ以降テイムの項目すら出ていないと言うのに、この物語の【弱体術師】はテイムに関する色々な技能を取得しているようだった。
「本当に良いよな...」
今では俺も仲間がいるとは言え、この物語の【弱体術師】は一度も仲間という面で困った事はない。
本当に王道のRPGのように何不自由なくどんどん強くなっていく所を見ると少々自分が情けなくなる。
「俺って最低だな、ただの物語にここまで感情移入して本の中の【弱体術師】に憧れてしまうなんてな...」
今の感情を忘れるために一度本を閉じると...!
『EXスキル【攻撃弱体化・超大】【防御弱体化・超大】【知力弱体化・超大】【速度弱体化・超大】【弱体化範囲増強・特大】【育成魔物強化】【育成魔物成長+】[【忘却の杖】【忘却の向こう側】【感情の勇者】]を取得しました。魔法【忘却付与】を取得しました』
メニュー画面にこれだけのスキルが追加されるのでした
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