第224話 ブラッドワイバーン②

 解体中にも俺はブラッドワイバーンが動き出さないか見はっていたのだが、やはり魔法1発で絶命したようだった。


(嘘だろ? いくらケロナが強いからって1発で終わるか?)


 確かに凄まじい魔法の一撃ではあったが、それだけでワイバーンを沈められるとは思わなかっただけに相当驚いた。


 しかも解体作業も職人級に上手く、魔法で作られた水のナイフを器用に扱い、ワイバーンの硬い鱗を引き裂いていく。


「鱗と爪と牙はいるだろう? 他に欲しい部分はない?」


 そう言われたので俺は目玉と答えた。


「OK目玉だね」


 躊躇なく目玉すら切り抜く彼女には躊躇いがない。


 まるで今までこんな作業は何度もしてきたとでも言うみたいに手際が良すぎる。


 目玉を手渡された俺は早速メニュー画面で合成を選択する。


 武器【赤き飛龍の杖+9】


 力+400


 妨害魔力+900


『レッドワイバーンの素材で作られた魔法の杖。装備しているだけで魔法の詠唱速度が早まり【火炎耐性】と【出血耐性】を得る。攻撃時に確率で【火傷】と【出血】を付与する』


『【出血付与】の魔法を取得しました』


 新たな魔法も手に入れたし経験値も美味かったが、ケロナの一撃によって戦闘が終わってしまったせいで本当の意味での経験値が手には入っていないような気がした。


 しばらくケロナが解体していると...。


「ギャオオオオオ!!!!」


 もう一体のレッドワイバーンが空から現れた。


 巣作りをしているだけにやはりこの個体はカップルだったようだ。


「またきたね。私が黙らせようか?」


 ケロナにそう言われたが俺は断った。


「いや、いい。本当に危なくなったら手伝ってくれ。あいつは俺たちで倒す」


 俺の言葉にニヤリと笑うケロナ。


「そう、ほどほどに頑張りなよ」


 そう呟くケロナを見て俺は「ああ」と答える。


「シュナ! 今回はお前が前衛だ。 ラカラ! 俺が状態異常をかけるからお前はブーメランで奴を叩き落としてくれ! 優樹! 全員に防御力UPと素早さUPのバフを頼む!」


 俺の指示に皆が動く!


 さあ、ここからが俺たちの戦いだ。

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