第174話 弱体術師VS騎士団長
俺は目の前の男に目を向ける。
「お前...、優秀な割には結構詰めが甘いんだな」
「なに!?」
「ベラベラと情報を喋るからこう言う目にあうんだよ。何も喋らずに作戦を実行されていたら俺たちはきっとここにいなかったさ」
完全に勝ちを確信していたであろう騎士団長の笑みが初めて崩れる。
なぜなら不確定要素が目の前の現れたからだろう。
「...まあ良いだろう。お前達は一度私に敗北している。処刑の時間が早まってしまっただけと言う事にしておこうか」
そう言いながら剣を構えるグレイスに俺は呟いた。
「確かに俺達はあの時一度負けた。だがあれはお前が俺たちの油断をついたのと俺たちがお前と戦う理由がいまいち分かっていなかったからにすぎない」
「なんだその言い草は? ならば貴様は正々堂々と戦えば私に勝てると言うのか?」
「...恐らく俺たちは4人で戦って良いとこ五分だろうな」
「ほう、やはり貴様は頭がキレるようだな」
「褒めるのはよせ。俺は別にそこまで頭がいい訳じゃない。ただ合理的に戦力差を把握しているだけだ」
だが五分も勝率があるのであれば話は別だ。
俺は気絶している佐藤を蹴り起こした。
「ぐはっ! ...こ...高坂?」
「ははは! 良いザマだな【勇者】様よぉ!!」
この際だ1発だけ腹を蹴り飛ばしてやろう。
思いっきり佐藤の腹を踏みつけた時にはそれはもうスッキリした。
「ぐはっ!!!」
(うわっ! ムカつく奴の腹を蹴るのってこんなに気持ちいいのかよ!)
もう病みつきになってしまいそうだがこれ以上やると佐藤が死んでしまうのでやめておこう。
こいつには死すら生ぬるい地獄の拷問でも受けて貰った方が気が晴れそうだからな。
そんな俺の行動を見て騎士団長が嘲笑している。
「おやおや、そこは【弱体術師】が【勇者】の傷を治して共闘とかをやらないんですか? 2人で挑めば私に勝てるかも知れませよ?」
「佐藤と...? 冗談じゃない! こいつと組むくらいなら死んだ方がマシだ!」
「俺だってそうだ!」
死にかけのくせによく吠えるな佐藤の奴。
もういっそのこと攻撃してとどめをさしてしまおうか?
「...だがな、こいつが目の前の敵と1人で戦っているところに横槍を入れるのは面白そうだ」
俺は佐藤に【回復薬】と【魔力回復薬】をぶっかけた。
「うわっ! 高坂! テメェ!!!」
「せっかく人が動けるようにしてやったんだ。最低限働けよ佐藤」
「くそっ! 後で覚えてやがれ!」
そう言いながらも騎士団長に剣を向ける佐藤。
(よし、これで勝率は6割程になったな)
一応佐藤も戦力に数えて計算しておくと、僅かだがこちらが有利となるだろう。
「さあ抗ってみなさい【弱体術師】。貴様には逆立ちしたって敵わない実力差を見せてあげましょう」
ニヤリと不気味な笑顔を浮かべている騎士団長との決戦が今始まる!!
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