第166話 宝石箱
「うぉぉぉぉ!!!」
私は思わず声を上げてしまう。
「アルシェ様!? どうなされましたか!?」
と衛兵が出てきたが、私は大丈夫だと伝えて出て行ってもらう。
(マジか、この姫さんマジックアイテムだと思ってこの定石を持っていたわけじゃないよな?)
ルビーやサファイアと言った耐性付きのいい宝石もありましたが、それ以上にこのダイヤモンドに私は目を光らせた。
ダイヤモンドには【破邪】の力が宿るとされていて邪な力を弾く力があると聞いた事がある。
(邪な力を弾く...。しかもこの大きさだ)
手のひらが一杯になるほどに大きなダイヤモンドを先ほどの窓に当てて見ると...。
バチバチ....バ...チ...。
騎士団長の力を弾いて外に出る事が可能になった。
「よしっ! これなら外に出られる!」
私が窓を開いてみると..。
「...えっ?」
私は絶句した。
ここは天井の牢獄。
窓から見下ろした下は断崖絶壁だったのだ。
(足をかけれるような出っ張りもない...。これじゃあ...)
道具も無しにこんな場所から飛び降りたらいくら私でも死んでしまうでしょう。
「ッ...!」
顔を出した外の様子を見て見るが、やはりここには足をかけれるような場所はない。
(建築家の人綺麗に作りすぎ!)
ここまで綺麗に作っているのは評価できるけど、おかげさまで貧民時代に培った壁上りの技術が使えない。
あそこにあったのは古びた家だったので足をかける場所がかなりあったのだ。
僅かな出っ張りでもあればそこにつま先を絡めて一時的に休憩することもできるくらいには上達していた私もこれにはお手上げである。
「どうする? 早くしないと兄ちゃん達が殺されちまう」
足りない頭をフル回転させ、私なりの解答を模索するのでした。
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