第156話 夜の内に脱出だ
俺は夜に馬車を借りる。
「ええ〜? この町凄く居心地良いよ〜? もうちょっと居ない?」
とラカラが言ってくるが冗談じゃない。
「こんな気持ちの悪い町にいられるか! さっさと次に行くぞ!」
金も稼いだしもうここに用はない。
と言うよりも居たくないのだ。
あのクソジジイのお陰で【弱体術師】の間違った扱い方が広まったこの町にはしばらくきたくないな。
俺たちは夜の馬車を借りてこっそりと脱出を図る。
意外にも脱出は簡単に成功した。
「あいつらは...追ってきてないな」
流石に追ってくる事はないと確認すると大きく息を吐いた。
「和希、あれ!」
「んっ?」
優樹の指差す方向を見てみると大きく炎の魔法で「【弱体術師】様! 時計台を直してくれてありがとう!」と描いていた!
「なっ! あいつら派手な事をしやがって!」
めっちゃ恥ずかしいだろうが! 他人のことも考えろよ!
思わずそう思ってしまう程には恥ずかしいぞこれ。
「こっそり脱出するつもりだったのに気づかれちゃってたね」
優樹が笑顔でニヤついていたのでこいつが犯人だと気がつくことができた。
「優樹...お前だろ! 今日脱出する事を奴らに言ったのは!」
「...正解! でも楽しかったでしょ!? 勝手に出ていったんじゃ流石に町の人たちも寂しそうだったからね!」
「だからってあの町の連中にそれを言うんじゃねぇぇ!!!」
そんな俺の叫び声を聞いた仲間達の笑い声で馬車の中が温まっているのでした。
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