第154話 俺の扱い
俺たちはしばらくの間ハルカリアンにいたのだが、時計台を直した3日後くらいから明らかに扱いが変わった。
〜ハルカリアンのギルド〜
「んっ? この依頼の取り分は5万ラピスじゃなかったか?」
どう見ても7万ラピスある。
俺がその事についてギルド職員に聞いてみるとこう返された。
「ああ! 【弱体術師】様はこの町の誇りである【時計台】を元に戻してくれたと感謝の気持ちを込めて色をつけたそうですよ」
「【弱体術師】様?」
初めて『様』をつけられた事に違和感を覚える。
「ああっ! はい! ハルカリアンの時計台を元に戻してくれた事で【弱体術師】様は町の英雄ですよ!」
思わず俺は笑ってしまった。
「おいおい、ただ時計台を直しただけだぞ? それだけ様付けは流石にないんじゃないか?」
そう聞いて見たのだがギルド職員はニッコリと笑顔を返してくれる。
「そうですね! 【弱体術師】様!」
俺はあんぐりと口を開く。
(なんなんだこの町は...)
俺は金を受けとった後に町を出歩く。
「【弱体術師】様! 良い魚が入ってるよ!」
「【弱体術師】様! 今日はサービスさせてもらうよ!」
「【弱体術師】様! ...」
(どうなってるんだ!?)
俺はあの爺さんの所に向かう。
「爺さん! これはどう言う事だ!?」
「んっ? 【弱体術師】様じゃないか。どうしたんだ?」
今日も時計台の掃除をして楽しんでいる爺さんの表情はイキイキとしていた。
本当にここの管理が生きがいなんだな...ってそんな事は良いんだよ!
「町の連中の態度! あれはなんだ!? 別に俺は【弱体術師】を祭り上げろなんて言ってないよな!? と言うかたったの3日でこの効果って爺さん何もんだよ!」
「わしか? わしはただこの町の相談役で前領主じゃよ。年老いて楽しみがこの時計台の掃除くらいしか無くってな。【弱体術師】様には感謝しとるぞい!」
ピースサインdw嬉々として掃除をしている彼に俺は思わず目を開いた。
「前領主!? お前が!?」
「ほっほっほっ! そうじゃよ! これからこの町ハルカリアンは【弱体術師】様を時計台を直してくれた【建築士】として称えようと思っておるんじゃが...。良いいかのう?」
「言い訳ないだろう! このクソジジイ!!!」
怒る俺を見てニコニコと笑うクソジジイ。
「カカカ!!! その怒った表情も良いのう! 昔のわしを思い出すわい!」
こうしてなぜか前領主の爺さんに好かれてしまった俺は、彼の元からあった人望のせいで無理やり英雄として扱われてしまうのだった...。
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