第142話 3日後
盗賊の町を出発して3日後。
ようやく次の町が見えて来た。
「あれが春を告げる町、ハルカリアンだ」
俺が馬車の中から外を見てみると、桜が咲き誇っていた。
見覚えのある木の種類に俺のテンションが上がる。
「桜じゃないか!」
「おっ! 知ってるのか? 桜の木を。 世界中探してもハルカリアンにだけ咲いている貴重な木なんだぜ」
「知ってるも何も俺たちの世界では毎年咲くんだよ!」
「へぇ、異世界にも桜はあるんだな。まあ、ハルカリアンの春を告げるって意味はよく分からんがな」
その言葉に俺は眉をひそめる。
「この世界に季節はないのか?」
「ああ? 季節? そんな物ないよ」
その言葉を聞いた俺はハルカリアンの春を告げるというメッセージを残したのが先代の勇者達だと推測した。
(この世界に季節がないのなら春を告げると言うテキストを異世界人が考えつくはずないよな。だったらまあ先代の勇者の誰かがここにきて春を感じたからそう名づけたのだろう)
誰でも分かる推測をした俺たちは早速町に降り立つ。
「今までありがとうな。これはお礼だ」
そう言いながら2万ラピスを渡す。
「いらないって、俺はクラール様の命令を聴いただけなんだからな」
「それでもだ。タダ働きさせるのは俺のイメージに関わる! だから受け取ってくれ」
そう言いって無理やり金を渡した。
「じゃあ貰って行くぞ」
「ああ! 持ってけ!」
俺は最後に「クラールによろしくな!」とだけ伝えると彼は元きた道を戻って行った。
「さてと、じゃあ俺たちも行くか!」
そう言いながらまずは宿屋を探すのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます