第118話 紫ツインテール少女

「あらあらあら、新しいお仲間さん?」


 俺たちを見てそう呟く目の前の紫ツインテール少女。


 身の丈に合わない大きな鎌を背負いながらニヤニヤとニヤついているガキだ。


 見た目は人間の少女(12歳)くらいだが、よく見ると小さいコウモリの翼のような物が背中についている。


「チッ! 高坂の前で情けねぇ姿見せれるかよ! 【電撃魔法】!!!」


 佐藤が再び立ち上がり電撃で強化された剣を振るう!


「くらえぇぇぇ!!!」


 しかしそれを見ておおあくびをする少女。


「もう勇者のお兄さんの技は見飽きちゃった」


 そう言いながら指2本で雷撃剣を受け止める少女。


「なっ!?」


 驚く佐藤はそのまま地面に打ちつけられて気絶していた。


「さぁてと、新しいお兄さん達はどうやって楽しませてくれるのかな?」


 少女の視線がこちらに移った瞬間に悪寒を感じた!


「デバフ!」


 俺は早速奴にデバフをかけたのだが...。


「んっ? お兄さんデバフ使い? でもざ〜んねん、リィカの方がレベル高すぎて全然効かないねぇ〜」


 奴のレベルが高いのか確かにデバフが全く効いていない。


 そんな中素早い動きでリィカの後ろに回るシュナ。


「【キャットクロー】!」


 勢い良く爪を繰り出すのだが...。


「当たってないよ」


 と言いながらシュナの腕の上に乗るリィカ。


 そのままシュナの顔面を蹴ってラカラの前に出る。


「ヤッホー」


「や、やっほー?」


「そうそう、えらいえらい」


 そう良いながらも鎌を振りおろした!


 ザクッとラカラの腹を切り裂く。


「ガハッ...」


「あら綺麗な血の色、やっぱり子供の血は凄く美味しそうだね」


 そう言いながら倒れたラカラを抱き抱えて首筋に噛み付いた。


 そして吸血を始めたのだ!


(こいつ! 吸血鬼か!?)


 それを見た俺は急いで奴に近づいて杖で殴るのだが...。


「お兄さん力弱すぎじゃない?」


 と言われた。


 力が弱い事は認めるが、こうも直球に言われると腹が立つな。


「攻撃ってのはねぇ...。こうやるんだよ!」


 俺は奴の蹴りを喰らって佐藤と同じ場所に飛ばされる。


「ぐはっ!?」


 一瞬にしてHP1になる。


「あはは! やっぱり人が吹っ飛ぶ様は面白いねぇ!」


 そう言いながら食事を始める奴にシュナが攻撃を入れた。


「なに? リィカは今から食事なんだけど」


「ラカラさんから離れてください」


「ふ〜ん...生意気だね」


 そう言いながらシュナとリィカの戦いが始まる。


 その間に優樹が俺の体力を回復させにきた。


「和希! 大丈夫!?」


「ああ、なんとかな」


 だがどうする? 今の俺たちじゃあんな奴倒せないぞ!?


「がっ!?」


「ほらほらほら! 当たるとすっごくいたいよ〜!」


 魔法を次々と連発しているリィカはシュナをなぶる為かわざと魔法のレベルを落として楽しんでいる。


「優樹! ラカラの傷の手当ても頼む!」


「和希はどうするの!?」


「やれることをやる!」


 俺はそう言いながら佐藤や石川、そして王にはめられたコロシアムでの出来事を思い出すのでした。


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