第106話 【レジアスの洞窟】⑤

「よし、じゃあ行くか」


 30分ほど休んだ俺は皆にそう告げた。


「そうこなくっちゃ! じゃあピッキングするよ!」


 ラカラは満面の笑みで最後の扉をピッキングして開けた。


 そして俺たちは最深部に至る。


「...すげぇ」


 ラカラが大量の黄金に視線を移し今にも飛びつきそうだったので命令を下す。


「黄金に触るな」


 黄金に触れようとしたラカラの尻に軽度の電流が走る。


「痛っ! 何すんだよ兄ちゃん!」


「だから迂闊な行動をするなと言っただろう!」


 コツンと頭を叩いて反省させる。


「なんだよもう...」


 これだけの黄金が配置されてるんだぞ、少しは警戒しろ。


 俺たちは黄金には目もくれず奥に進む。


 すると...。


 グルル...。


 という鼻息が聞こえてきた。


 鼻息からしてだいぶ近いぞ。


 その鼻息の方に向かってみると...。


「なんだアレは...!」


 俺が見つめる先に大きくて黒い黒龍が黄金の上で眠っている所が見えました。


「アレは【幻影龍ファントムドラゴン】です!」


 とシュナが知識を披露する。


 やはり優男の息子だろう。


 あれだけの本があるのだから、シュナもそれなりに博識なのだと思う。


「ドラゴンか。と言うか【幻影龍】? そう言うことか。【幻影の宝珠】の値段が高い理由が分かったぞ」


「どう言う事だ?」


 まだ理解していないラカラに俺は説明した。


「名前からして【幻影の宝珠】とは恐らく奴の、もしくは体内のどこかで生成される宝石に似た臓物なんだろうよ。くそっ! ここまできたら挑まないとくたびれ損だ」


 俺はまず優樹にバフ付けを全員にしてもらい、最初の攻撃をシュナにしてもらう。


「【キャットスタンプ】!」


 ドゴォン! と最初の一撃が決まった瞬間に全てのデバフをかける俺でしたが...。


(くそっ! 抵抗力が高い! 殆どデバフが効かないようだ)


 一応【毒】と防御力低下状態にはできましたが、他の状態異常はつきませんでした。


 一応【束縛】の魔法は発動していましたが、バキンと一瞬で破壊されて動き始める【幻影龍】が咆哮する!!!


「グォォォォォ!!!」


 激しい咆哮がダンジョン内に響き渡り、それが開戦の合図となるのでした。

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