第65話 本の館
見渡す限り本! 本! 本! まさしくここは現代で言うところの図書館だった!
「お前この量を一代で集めたのか!?」
「はい、そして全て読了済みです」
「この量を読了したとか...。もはや本が好きってレベルじゃないだろ...。狂人の域だ」
「そう言われると照れますね」
「いや...別に褒めて無いからな」
ニッコリと笑う奴の笑みが少し怖いぞ...。
「だがまあよくこれだけの方を揃えてくれたな。お前の趣味に礼を言う」
「いいえ、礼を言うのはこちらの方です和希様」
「なぜだ? 俺はお前に礼を言われるような事はしていないぞ?」
俺がそう呟くと彼はふふっと笑いながらシュナの名前を呟いた。
「シュナがあそこまで成長できたのは紛れもなく【弱体術師】である和希様のおかげですからね。このくらいのお返しは当然ですよ」
そう言われると少しむず痒いが、ここは好意に甘えさせてもらおう。
「悪いな。お前が生涯をかけて集めたこの書物達を無駄にはしない」
「はいその方が本達も喜びます」
「本が喜ぶってなんだよ...」
「本も読まれていると喜ぶ時があるんですよ」
全く意味のわからない事を言われても共感できないな。
「まあ良いや。じゃあ本を読ませて貰うぞ」
「どうぞ、好きなだけ読了してくださいね」
そう言って書庫の鍵を俺に渡して彼は去って行った。
「こんな大事な鍵を俺に渡すとはな...」
これは彼の信頼の証でしょう。
俺は書庫の鍵をメニュー画面の中に入れると静かに読書を始めるのでした。
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