第11話 少女の思案
複数のモニターの光のみで照らされた部屋。多くのモニターの中央にあるデスクに座る少女が1人。
その容姿は、雪理達が見た画面上のアバターと瓜二つ。純白のボブヘアのパーカーを着た少女そのものであった。
彼女は画面に映る資料を見ながらつぶやく。
「面野 雪理……20歳。2年前、学校の卒業祝いと思われる旅行のために家族と乗った飛行機が……」
高速のタイピングを挟みながら、さらに彼女はつぶやいた。
「聞き覚えがあったと思ったら、あの機関が最近注目しているって人物だったか。よりにもよって裏牙と繋がりがあるなんてな……」
デスク上に置かれたサイダーの半分を一気に喉に流し込んだ彼女がさらに続ける。
「そして、あの時いたもう1人の人物がもしかして、異世界……あちら側から来た住人か。これによればラミアとダークエルフとあるな。ならこれで」
パソコン上で録画されていた裏牙達とのやり取りの映像を表示させ、何らかのプログラムを起動させる。
「魔法的な力の検知っと……あー、やっぱり幻術らしきものがかかってたみたいだな。ということは……あの時いたのはダークエルフの方か」
プログラムを停止させ、映像も閉じた彼女は再び機関……リターナーのものと思われる資料を画面上に展開した。
「面野 雪理を追っていれば、機関についての情報が得られそうか。自然に接触や監視をするのなら癪だが、裏牙のやつに付き合ってやるのが近道かもな……」
そう彼女はつぶやきながら、溜息まじりでモニター端に表示されているメッセージアプリの画面を見つめていた。
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