第23話 厄日!?
「デートは土曜日の予定よ」
デートの日程を確認するために、朝一で九条さん家に訪れた俺は開口一番そう伝えられた。昨夜のあれがフラグなのは分かっているが.......明らかに回収が早すぎる気がする
「お前らほんとマジでふざけんな」
「あ”?何か言ったかしら?」
その鬼みたいな顔やめてくれないか?
冗談抜きでマジ怖いって......
「何でもありません......」
「あなたは土曜日、私の手となり足となり
「も、もちろん約束は守る」
「ふふっ従順で助かるわ、今なら少し希望を聞いてあげてもいいわよ?」
「じゃ、じゃあ土曜日じゃなくて.......日曜」
「あ”?何か言ったかしら?」
「完璧な日程だと思います.......」
結局何も意見通らねぇじゃねぇか
「良いわね、後日また詳しい内容を説明するから学校での無駄な接触は避けるように」
「は、はい」
「では、また学校で」
バタン
そう言い残した彼女はすぐさま扉を閉めた。つまり、九条さんの家を訪れたは良いものの結局の所何一つプラスに動かなかったというわけだ。
そもそも九条さんの態度がカフェの時と全然違いすぎる。まじで二重人格なんじゃねぇか?
「とりま、早めに学校行くか」
いつもの登校時間よりだいぶ早く家を出たので、このまま学校に着けば教室には誰も居ないだろう。たまにはそれも一興かもしれない。
特に言うこともなく俺はそのまま学校に着いた。
「ほんとに誰もいねぇな......」
教室はガランとしていてカバンも何もなく、人の気配が一切しなかった。換気目的で開けられた窓から溢れる朝の風と何も無い空間が、いつもとは違う新鮮な風景で悪くない。
「っとノリィ来るまで何してよっかな」
特にやることも見つからなかったのでテキトーに教室を徘徊することにした。黒板に絵を書いてみたり、文庫本を漁ってみたり、机の上で寝そべってみたり。
(暇だなぁ.......マジで.......)
俺は寝ててもしょうがないので昨日当番がやり忘れたであろう花瓶の水でも変えることにした。
(親切が自分に返ってくるかもしれない的な下心はある)
俺は花瓶を取って水飲み場へ向かう
「あ」
「あ」
「ど、どうもご無沙汰してます」
「あ、先日はどうもありがとうございました」
「いえいえ私は特に何もしてませんから」
「そんなことないですよ、大手柄でした」
「あはは、ありがとうございます」
「「..........」」
「か、加賀美君も花瓶の水換えたりするんですね。少し、意外でした」
「意外で悪かったね、今日は偶然早く来たから暇で暇で」
「わ、私も今日は図書室が休みだったのでそれで折角ならやっておこうかなと思いまして」
「「.............」」
「そ、それでは私も水入れ終わったので」
「あ、ああ俺もできたから」
「「じゃあ(では)また」」
彼女が踵を返して別の教室に向かっていく
名前も知らない、会話も二回目
別に言うことの無いほどの接点
だけど.......なんでかな
「熱いな今日は」
❖☖❖☖❖
「おはようたいっちゃん!!今日はちと早えな!」
「!?......たまたま早く来ちまっただけさ」
「っはは、今日は大丈夫みたいで安心したわ、昨日はおかしかったからな」
「まぁそれはいいだろ?というかそれよりも」
「俺も気分上場どころから爆◯ストームだからな!調子最高だぜ!」
「お、おう、で俺が聞きたいのはそんなことより」
「昨日なんて部活中無双しちまったからな!クゥ!見せたかったぜ俺の
「いやそれよりも!俺が聞きたいのは!!」
「ん?何か聞くことある?」
「お前...........髪の毛どこいった?」
「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
ノリィは伸びに伸びていたご自慢のロン毛をバッサリと切っており、今や面影の無い短髪少年になっていた。普通に似合っているから質が悪い。
「面影全く無さすぎて気づくのに20フレーム位かかったわ」
「それって60fps?」
「120fpsだな」
「やるじゃねぇかよ、
「お前もよく切ったもんだな、
「「あははははは」」
「楽しそうですね、何の話をしているんですか?」
「「!!??」」
「おはようございます、加賀美さんにし......清水典明さん」
俺たちに話しかけていたのは中瀬さんだった。まさに突然の来襲、陰キャ眼鏡と短髪(元ロン毛)眼鏡ドルオタにあの中瀬さんが話しかけたとあってクラス内は騒然としていた。
「お、おはよう」
「め、女神が.......我の忘れ去られていた名前を読んでくれたぞ!」
忘れ去られていた名前?そんなの覚えてるに
きま..........ってるだろ
「ふふっ、二人共仲が良さそうで羨ましいですね」
「羨ましい?別に普通だけど?」
「BLに挟まりたいってコト!???」
「(^ν^)お前黙れよ」
「痛いっ!!久しぶりの二コ顔やめて!」
「俺はお前という意思が消えるまで殴るのをやめないぞ?」
「冗談ってこういう時に使うってことを教えてくれたんだよね?」
「それは嘘だ」
「ヤァァダァァァァァ!!」
「ふふっ、あはは」
「え、中瀬さん!?」
「女神様どうした?」
「あはは......ごめんなさい!私ってこんなにあけすけに喋れる友達居ないから。こういうの新鮮で」
「中瀬さん友達に困るイメージ無かったから意外だった」
「会話はパッションってことなんだよね!」
「別に困ってるわけじゃないよ?パッション?もあるかどうかはわからないけど。ただ二人みたいな距離の近さが良いなぁって思っただけ」
そういう彼女は寂しそうでどこか不安げだった。
「なるほどね」
「じゃあたまに俺らとしゃべろーよ」
「!!?何言ってんだお前!!?」
「え!?良いの?」
「別にいつでも会話混ざってくれていいぞ、俺らもそれくらいが楽だし」
「それじゃあ!また時間ある時お邪魔するね!」
「りょっかーい」
「じゃあまたSHRの後で!」
そう言って彼女はグループに戻っていった。色々聞かれることになるだろうが、できれば温厚に済ませたい.......神?大丈夫だよな?
「お前もなんつーこと言ってくれてんだよ!!」
「痛いって!マジでアイアンは痛いって!」
「しっかり反省しろ!!!」
「分かったって!だから離してぇぇ!!!」
……しばらく反省タイムの終えて……
「それよりお前が中瀬さんと普通に話せたことが意外だったわ」
「意外?別にギャルゲーやってた時の知識があればいけるだろ?」
「ギャルゲー=会話指南書ってことか」
「そういうことってわーけ」
いつも意味不明なノリィだが今日も意味不明すぎた。どこにギャルゲーで会話を学ぶ高校生が居るというのだろうか?
………
「そろそろ俺戻ろっかな、あと五分くらいだし」
「そうだな、じゃあま「ここに加賀美大晴という男が居るはずだ!出てこい!」ってなんだ?」
次から次へと面倒事が多い。今日は厄日か?
「もう一度言うぞ!ここに加賀美大晴という男が居るはずだ!出てこい!」
教室の後方扉に1人の男が立っていた。中肉中背の特に語ることのない。アニメだったらモブ1とか書かれてそうな奴だった。
教室がざわざわと騒ぎ始め、周囲の目線が俺を貫く。
(ガン無視は駄目なパターンだな......)
俺は席を立って軽く手をあげた。
「あ〜俺だけど?何か用でしょうか?」
「君が加賀美大晴か.......廊下に出ると良い、ここでは話をしづらいだろう」
「へいへい、出りゃいいんだろ?」
廊下へ出るとモブっぽい男子生徒の他に二人の男がいた。1人は大柄で全体的に丸く、もう1人は背が小さく悪い顔している。
「で、要件は?」
「単刀直入に言わせてもらおうか!!」
そう言うと三人は俺を指さしてきた
「お嬢様の安全と健やかなる生活のために!俺たち!スレイブス筆頭奴隷三人の名において!!お嬢様の平穏を脅かす加賀美大晴に!金輪際お嬢様に近寄らないことを命令する!」
「そうだ!お嬢様のために!」
「ブヒィ!!!!」
「お、おう、というかその」
「お前がお嬢様に害をなす人間ということの調べはもう団員全員で証拠が確保してある!!黙って従え!加賀美大晴!!」
「そのとおりだ!もうネタは上がっているぞ!」
「ブヒブヒィ!!!」
「お、おう、それよりも、まず1つ言いたい事あるんだが言ってもいいか?」
「良いだろう、少しは言い分でも聞いてやろうか」
「一応釈明の余地は必要だからな」
「ブヒィ、ブヒブヒ」
「まぁ、とりあえず」
「何で!お前はブヒブヒ喋ってんの!??」
「ブヒ?」
<あとがき>
21話の原稿データが消失していたので再投稿
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます