S5 イースト 10月1日

――ギルドハウス:カンターレ――


アリシア「よく見たら今日あれじゃん。アイムールさんに呼び出されてる日じゃん。もうリアルで2週間経ったんか……」

呉羽「無視も出来なくはないが……。イーストは敵に回したくはないな」


ヴィオ「あの突然殴りかかってきてウサメリ押し付けてきた人よね、用事って誰かに会わせたい……だったかしら?」


旗風「とりあえず行ってみよっか。本拠点があるのがえっと……」

アリシア「コトリチャンダイスキダだな。結構遠いぞ」


ソメイユ「なんというかすごい名前な場所だね~」

独羽「それ本当に地名なの?」


旗風「あの辺りにいた魔物を無双して屍の山を作った勇者が命名したみたい。あの辺りの敵強いんだけどな」


独羽「ああ……。ことりちゃん大好きだ、なのね……」

さくころ「天は二物を与えずかあ」

ナナ「どれぐらいかかるの?」


アリシア「そうだな……。馬車借りて6日くらいか。保存食も買っておきたいな」

ナナ「馬車で6日!?ちょっとした冒険だね」


チリエ「行ってらっしゃいませ」

ジア「お帰りを、心よりお待ちしています」


――インフェルノ付近:街道――


▶しっかりと準備を整え、馬車を借り街道を歩いていると、スズミに出会います。スズミはどうやら何かのクエスト帰りのようで、全身血まみれですね


スズミ「カンターレか。こっち来ても森しかないよ?」


ヴィオ「いや血まみれじゃない大丈夫なの?」

旗風「コトリチャンダイスキダに行くとこ。そっちは?」


スズミ「ああ……。このは狩りの密猟者をちょっとね。『このは共同墓地』としても、最近のこのは狩りの風潮を抑えるのは難しくって」

スズミ「あんな田舎に行くのなら、うちのギルドのメンバーをそちらのギルドハウスに送っておくよ。夜盗対処も大変だろう?」


アリシア「助かる」


――ドリームランド付近:街道――


▶別の日、更に街道を歩いていると奥から商人と思われるプレイヤーが見えてきます。商人はこれ幸いと話しかけてきます


商人「いやあ、いいところに。今いい儲け話があるんですよ」


ヴィオ「このは狩りとかじゃないわよね?」

アリシア「儲け話をすれ違っただけの俺らに?妙だな」


商人「いやあ、そう警戒しないでくださいよ。簡単な話で。最近投機にもなっているいい肉を手に入れましてね。ちょっとインベントリがいっぱいで持てないんですよ。持ちきれない分をあげようと思って。腐らせるよりはいいでしょう?」


▶商人はそう言うと、馬車の後ろの方に乱雑に積み上がっている肉のブロックを見せてきます


商人「寝床を圧迫してて正直邪魔なんですよね。もらってくれませんかねえ」


ソメイユ「たしかにもったいなくはあるね~」

ナナ「お肉くれるの?……食べちゃダメなの?」

アリシア「これは……なんの肉なんだ?」


商人「知らないんですか?今紅葉で流行りのマミ肉ですよ」


アリシア「ああ……あの美味しいやつか。最近数が取れないって聞いてたが……。ありがたくもらっていくよ」


商人「売るなり食べるなりしてやってくだせえ」


――最東端付近:街道――


▶野営の準備をしていると、森の方から焦げ臭い匂いがします。慌てて振り返ると、3mはあろうかというドラゴンが姿を現します


ナナ「わぁー、おっきい」

ヴィオ「ドラゴンなのだわ! 初でかい生物なのだわ!」


旗風「や、やばい!!」

ソメイユ「ひえ~、野良ドラゴンなんて居るんだ~……」


呉羽「あれはこの辺最強のチャレンジボスって言われてるエンドコンテンツだよ!!私達程度じゃ無理無理!!」

アリシア「撤退!撤退!!!」


さくころ「なんでチャレンジレベルの敵がランダムエンカウントなんだよ!!」

呉羽「天候と時間が大事って聞いたんだけど……。たまたま運悪く……」


独羽「死んじゃうから馬車に早く乗って!」


▶逃げてる最中炎弾が車輪にあたり、横転します。なんとか気を逸して馬車を立て直します


ヴィオ「火を噴いたのだわ!」

アリシア「喜んでる場合か!お前も馬車立てるの手伝え!」


▶ドラゴンを足止めしようとしますが、普通に弾き飛ばされます。馬車の幌も燃え、大惨事になりますが、なんとか逃げ切りました


独羽「無理無理無理!!!」

呉羽「やっぱり一太刀すら無理か……」


旗風「今、山賊とか他のやつに襲われたらそれこそウサメリ見えちゃうよ……」

ヴィオ「馬が無事でよかったのだわ……」

ソメイユ「あぶなかった~……あんなこともあるんだね~……」


アリシア「大損害だな……。うちにもヒーラーがいればまだマシだったんだが……」

独羽「わたし!わたし!!」

アリシア「腕前がなあ……」


ヴィオ「ヒーラー雇った方がいいのかしら?」


旗風「雇って来てくれるようなヒーラーがうちみたいな行商ギルドに来てくれることないのよね……」


――コトリチャンダイスキダ:関所――


▶海沿いに北側に歩いていき、物々しい関所を通って街の中に入ります。要塞と言っても遜色ないほどの戦略基地のような場所だなあと感じました。見張り塔や大砲などがたくさん置かれていて、物々しい雰囲気です


アリシア「やっと着いた……。ドラゴンに怯えてロクに寝れてもないし宿屋取りてえ……」

旗風「でも宿屋はなあ……」


ソメイユ「名前に反して物々しいところだね~」

ヴィオ「なんともゴツイ街なのだわ……」

ナナ「こういう町ならあんなドラゴンもやっつけられるのかな」


呉羽「イーストの本部は確か、あっちのでかめの場所かな。流石に事情を説明したら入れてくれるでしょう」


――コトリチャンダイスキダ イースト本部――


▶守衛に話を通すと、「話は聞いている」と奥に通してくれます。アイムールがニッコニコ顔で出迎えてくれますね


アイムール「よく来てくれたな!長旅でお疲れだろう。こんな僻地に呼びつけたのは他でもない、ここから移動したがらないやつがいるからなんだ」


さくころ「そらこんな道中してるんならどこも行きたくなくなるわ」

ナナ「それでお祭りでもやって呼び出そう、みたいな?」

ヴィオ「お疲れだから休ませてくれると嬉しいのだわ」


アイムール「いや、なんというかな……。見てもらったほうが早いか……」


▶アイムールは隣の部屋に行くと、男を引きずって戻ってきます。HNのところに金の葉っぱがついていて、ユーザーなんだろうなと感じさせます


ヴィオ「あ、金の葉っぱだわ」

アイムール「部屋に籠もるのもいいが、自己紹介くらいしてくれ」


まっちゃそふと「抹茶です。一応、イースト所属。所属理由はこの世界の研究です」


さくころ「おっ親近感。ころもっす」

ヴィオ「チームパフェとかに鞍替えする?ヴィオーラなのだわ」

ソメイユ「わたしさんはソメイユさんだよ~」


まっちゃそふと「ところで、みなさんこのゲームでどうして魔法が使えるか考えたことあります?プログラムで生成してるっていうとそれまでですけど、そのプログラムの起動条件って何処から来てるかとか気になりません?」


ナナ「考えたこともなかった!だってそういうゲームでしょ?」


まっちゃそふと「一応この世界、現実の科学法則とかに即してるみたいなんですけどだとするのならば現実のルールに即した原因があってプログラムの起動条件を満たしてるってことなんですよね。俺個人があんま冬泉コーポレーションって存在を信用してないってところもありますけど、突然こんな超技術が急に出てくるわけないんですよ」


ソメイユ「なんか複雑そうな研究内容だね~、でもちょっと面白そう~」


まっちゃそふと「何か知らないところでノウハウの蓄積があった、と考えるほうが妥当なんですよね。だとするならば、原理の究明が出来るのならば現実世界でも魔法が使えるってことなんですよね」


アイムール「意味がわからないことを言ってないで、本題を話してやれ」


まっちゃそふと「ああ、そうでしたね。インフェルノって街。見ましたか?どう見ても大阪の日本橋でしたよね?過去文明が俺達現実世界とほぼ同一とするのならば、どうして滅んだのか考えたほうが早いんですよね。そこで、この辺りにもある遺跡……というより国際展示場を調べたんですよ。じゃあ出てきたのがコレで」


▶まっちゃそふとはインベントリから箱を取り出し、開けます。中には何も入っていません


まっちゃそふと「中、何か入ってるか見えます?」


アリシア「いや。空だな」

ヴィオ「二重底になっているとかじゃない?」


まっちゃそふと「そうですよね。じゃあこれ、かけてみてくださいよ」


▶まっちゃそふとはボソボソとどもった早口言葉と裏腹にテキパキと全員に眼鏡を配ります。一行は眼鏡をかけると、箱の中に何か結晶のようなものが入っているのが見えますね


ソメイユ「お~?何かが見えるようになった~。これは結晶?なんだろ~」


まっちゃそふと「これ、何だと思います?名前がないやつなんですが、これを俺はオリジンクリスタルと命名しました。本当は名前つけるとちょっと面倒なんですが、マデュライトとか満開とか既存のものに当てはめるのもなんか違うと思ったんで」


ヴィオ「……要するにこれがさっきの魔法の条件を満たしたってことかしら?」


まっちゃそふと「このオリジンクリスタル、思想や祈り、願いといったものに反応して光るんですよ。ということは根本的に人間の意思や思想、思いとかいう見えないものに対してエネルギーが眠ってるってことなんす。まあ?大体どんなゲームやってて出てくる原理ってだいたい祈り願い思い信仰概念意思運命希望とかで説明できますからね。そういう人間の思考エネルギーを可視化したようなものっす」


ヴィオ「たしかにゲームとか漫画とかそういうの多いわよね」


まっちゃそふと「現状、オリジンクリスタルそのものはただのリトマス紙にしかなってないですけど、これを放射させることで魔法といったことにしてるんだと思います。それでですね、この石を取ってきてほしいんすよ」


アイムール「どうやら研究にいるんだと。こっから北に行ったところにある洞窟で掘れるんだ。危険だが、こちらからも護衛を1人つける」

アイムール「そいつには現地で待たせてある。早めに行ってやるといい」


まっちゃそふと「そういうことなんでお願いします。俺の言ってることが妄想か現実か、最近わかんなくなってんすよ。糖質一歩手前みたいになってるんで、早く新しい実証材料がほしいんすよね」


ヴィオ「てかそれ取りにいくの私たちじゃなくてもいいじゃない。私たちである理由を聞きたいのだわ」

ナナ「まっちゃくんは来ないの?」


まっちゃそふと「俺みたいなヒョロガリのクソ理系が戦えるわけないじゃないっすか。俺がこのゲーム始めたのもこういう内職で金稼げるって知ったからですし。あんたがたはそこの化物相手に善戦したんでしょ?聞いてますよ、強いって」


旗風「強くはないんだけどなあ……」

アリシア「まあいいや。俺は学者出来るほど賢いわけでもねえし、金もらえるならそれでいいか」


――コトリチャンダイスキダ 北の洞窟――


▶要塞のような街を出て少し歩いたところに山を削ったトンネルのような洞窟があるのが見えます。整備されているのか、入口に明かりもついているようですね。その入口に、暇を持て余したような金髪ショートのめちゃくちゃかわいい少女が待っています


金髪「あなた達があの化物相手に粘れたとかいう化物?」


旗風「化物ではないけど、アイムールさんに言われては来たけど……」

ヴィオ「どの化物相手に粘れた化物か知らないからたぶん化物違いなのだわ」


セリア「あってそうね。私はセリア。イースト所属の魔法使いよ。これからあなた達を護衛するからよろしく」


――コトリチャンダイスキダ 北の洞窟:奥――


▶整備されており、せいぜいコウモリ程度しか出てきません。そのコウモリもセリアが一撃ではたき落とすので楽に最奥まで到達できます。最奥は眼鏡をかけていると確かにところどころに結晶があるのが見えます。セリアは暇を本当に持て余していたのか、話しかけてきます


[援軍回復:独羽]

 33回復


セリア「この、オリジンクリスタルだっけ……?砕くと灰のようにサラサラとしたものになるのよ。白くて綺麗だけど物体を溶かすのよね。溶けるといっても、本当に溶けるわけじゃなくて、なんていうかこの世界から消えていく感じかな」

セリア「強い思いがあればこの結晶を自力で生成できるってあの辛気臭いのが言ってたけど、それでアルカディア王国滅ぼせるならもうとっくにあの国は廃墟なのよね」


ナナ「ふーん……?これザバーって被ったらどうなるの」


セリア「昔それをやった隊員がいたらしいのよ。私はそんな隊員がいることすら知らないんだけど、ある時からあの暗いやつが箱に厳重に仕舞い込むようになったわ」


さくころ「こわぁ……」

呉羽「ところで、私たちは結局何をするんだ?採掘か?」

ソメイユ「ひえ~、結構危ないね~」


セリア「いえ……。来たわ!」


▶洞窟の奥からすり抜けるように黒い鎧を着た剣士が出てきます。自分と変わらない背丈ほどの大剣をこちらに向けて構えます


セリア「アキナイトって言うんだって。この地方特産の黒騎士なの」


アリシア「特産……?」


セリア「シズハナイトとかミノリコナイトとか、コトリナイトとかもいるんだって。私は見たことないけど」


▶戦闘前行動 アキナイト ゴミミゴミ(自分に1回身代わり。全ての攻撃判定に毒1d1。敵に毒がついている数に応じてダイス両面+1)

▶戦闘前行動 ヴィオ 猛炎 広き心 ヴェルフェン

▶戦闘前行動 ソメイユ 蒼星 ブィストロター ホープファインド 夜泉濡


[援軍回復:独羽]

 41回復


▶ソメイユ メガアンフォームド 妨害結界

[夜泉濡:アルケインパルス]

[ホープファインド:足場]

[まじかるナース:引くこと覚えろカス]

▶ヴィオ 通常攻撃[瀬音×2、静寂×2]

 成功

[身代わり]


独羽「みんなに癒やしを……!」

ソメイユ「さてさて~、わたしさんはしっかりと下準備を~」

ヴィオ「準備は万端、お礼は身体で返すのだわ!」


[まじかるナース:引くこと覚えろカス]

[炯炯]

▶ヴィオ 星々のオセラム 通常攻撃[瀬音×2、静寂×2]

 成功 75ダメージ[追撃]61ダメージ

[剣の衝撃(全体に物理固定2ダメージ)毒1d1]

[ナナ:庇う さくころ]

[毒]2ダメージ


[ジャンプ斬り(移動時、一番近くの敵に物理6d8。移動分両面+2)]

▶ヴィオ 回避判定

 成功

[毒]計2ダメージ

▶アキナイト 横薙ぎ払い(補助。自分と同じマスに物理5d7)

ため斬り(補助。自分と同じマスの敵1人に物理7d8)

蜻蛉帰[真ため斬り(ため斬りを見た時ダイス両面+8)]

▶ヴィオソメイユ 回避判定

 放棄成功 20ダメージ

[ヴィオ:水都×2]

▶ソメイユ 回避判定

 成功

[ブレイズスラッシュ(攻撃時追加行動。物理9d9必中)]さくころ

[ナナ:庇う さくころ]

 45ダメージ

[ナナ:ティアズカタログ]

[毒]計4ダメージ

[援軍攻撃:呉羽]

 90ダメージ 


ナナ「どこにいくのー?私と遊ぼう!」

呉羽「私を無視して余所見とはいい度胸だな!」


▶さくころ 引くこと覚えろカス 逝ってよし

▶ヴィオ 通常攻撃[瀬音×2、静寂×2]

 成功 52ダメージ[追撃]69ダメージ

[毒]計4ダメージ

[まじかるナース:引くこと覚えろカス]

[炯炯]


[援軍攻撃:セリア]

 79ダメージ


[アヤネスコスコラッシュ(行動時割り込み。4回物理7d7)]

▶ヴィオソメイユナナ 回避判定

 放棄 46ダメージ

[ヴィオ:所有、水郷、水都]

 成功

 放棄 62ダメージ

[ナナ:所有、ティアズカタログ]

[ブレイズスラッシュ]ナナ

 78ダメージ 

[ナナ:回避珠]


▶ナナ ひらめきコイン ゲームで判定 回復薬G2

 失敗

[援軍攻撃:呉羽]

 114ダメージ


呉羽「素人の守りだな。突きィィィィィィー!!!!!」


▶アキナイトは剣を取り落とすと、トロッコに担がれて壁の中に運ばれていきました


ヴィオ「あれ?これでおしまい?もっとやばい隠しスキルみたいのがくるかと思ったのだわ」

独羽「これ以上とか絶対無理〜」


セリア「ふうん。それなりに戦えるじゃない。これでゆっくり炭鉱夫?ってのが出来るわ。はいピッケル」


ソメイユ「ドロップとかするわけじゃないんだね~」

さくころ「むしろここからが本番なのか……」

アリシア「重労働はんたーい」

ヴィオ「ここ来る前のドラゴンの方が苦しかったのだわ……」

ナナ「いっぱい取るぞ~」


──コトリチャンダイスキダ イースト本部──


▶まっちゃそふとが戻ってくる君たちを見て慌てて眼鏡をかけ、鉱石に対して何やらブツブツ唱えて、結晶を小さい宝箱のようなもので包みます


まっちゃそふと「本当にありがたい。僕が開発した装置があるからせっかくだし見てってくれ。これを使うと魔法の根源たる何かがどういうものか浅学非才な君たちにも脳で感じ取ることができるはずさ」


▶まっちゃそふとがベルを床に置き、小さな結晶をすり鉢で砕いてベルに振りかけます。すると、全く同じ形をしたベルがじゃらじゃらと増殖するように増えていきます


ヴィオ「は?消えるんじゃなかったの?」

ナナ「すごい!?これでお金持ちだ」


まっちゃそふと「この通りだよ。僕の新しい資金がほしいという強い願いに呼応して、思った通りの結果を生みだす。そのことに科学法則なんてものが介在していない。しかも見てみろ。増やした資金にはしっかりNFTが僕の名前で刻印されている。正真正銘、正しく使えるベルだ」


ソメイユ「ほえ~、まさしくシステムの裏的な感じだね~」


まっちゃそふと「ただ、問題もある。この力がオリジンクリスタルによってベルを精製出来てしまうことがわかれば新しい戦争の火種になりかねない。これは僕が通貨として使えるベルが欲しいと強く願ったから起きたエネルギーによる副産物であり、強い武器がほしいと願えば当然そのように変質するだろうし、人の記憶から消えてしまいたいと願ったのであるのならば正しく存在証明ごと消滅するのであろう。現に僕の日記にも僕の記憶に一切介在していない隊員の調査記録が事細かに書かれている」

まっちゃそふと「これは正しく神の原理だ。何故このようなものが冬泉如きのネトゲ風情にあるかは知らないが、同様の理屈と結果が現実世界にも現実問題としてあるのだろう。だから、要らぬ火種を今後も撒き散らさない為にも僕、というよりイーストとギルド同盟を組まないか?」


旗風「条件は……?」

アイムール「この石の秘匿だ。イーストと対等な立場で、正式に同盟を組むと大々的に発表もしよう。それに、卸の定期契約ぐらいか」

セリア「断っても、この情報がしばらくの間漏れていないのを確認すればお互い今まで通りのビジネスパートナーよ」


ヴィオ「秘匿って言ってもこの眼鏡ないと見えないんだし誰かに教えても信じてもらえないでしょうに……どうする?」

ナナ「いいんじゃない?これでまた新しくお友達が増えるよ!」


アリシア「悪い提案ではねえだろ。販路が増えるのは単純にでかい」

旗風「ではそういうことで。─ところで、早速なんですがこのマミ肉とかどうですか?」


アイムール「マミ肉とは珍しい。狐は不味いとは聞いてたんだがな。どうも極上の脂らしく」


ヴィオ「狐だったの!?」


まっちゃそふと「マミはタヌキ……というよりアナグマですよ。狐は雑食だからクソまずいらしいですよ。――しかしおかしいですね……。僕が調査した限りまともな動物なぞ、見たこともなかったけどな」


さくころ「えっこわ。結局謎の肉に変わりないんすね……」

旗風「確かに見たことないわ…。この辺りには棲息してないのかも」

ヴィオ「ここに来る途中で、商人が大量に持ってたのを分けてもらったんだけど」


アイムール「うまいという噂は聞いている。6万ベルで引き取ろう」

アリシア「毎度ご贔屓に」

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