俺、名前貰ったよ!

 みんな驚いた顔してるけど、なんでだろ?


「いったいどういう事なんだ、水が尽きる事が無いとは」

「俺が水源の場所に、ずっと水を作り出す魔法を使ったから俺が生きてる間に水が枯れることは無いよ~」

「え、いやそんな!?それってずっと魔法を使ってるってことでしょ!?そんな事をしたら体が持たないわ!」

「恩人殿の命を削る必要は無いんだ。命を削るべきなのは俺なんだから俺が代わりになれないのか?俺は無駄に魔力が多い、少しは賄えるはずだ」

「そうだぜ!俺達でその魔力を・・・・」

「?別に大丈夫だよ?ほとんど魔力使わないし、本当に少しか持っていかれないし」

「いくら恩人様の魔力があってもそんなはず・・・・」


 なんかみんな心配してくれるけど、これぐらいの魔力使っても何の問題も無いし。回復する方が速いからほぼ魔力消費無いんだよね。


「本当に大丈夫!」

「しかし・・・・」

「俺がやりたい事だから良いの!」


 ウォルはまだ納得してないみたいだけど、気にしなくて大丈夫なのに。


「・・・・もし命にかかわる時はすぐにその魔法を止めて欲しい。約束してくれないか?」

「分かった!約束する!」


 ようやく安心した顔をしたウォル。じゃあ次をやるとしますか、俺は水から上がり何処に水を引こうかなと考えていると


「ここは新たな国の希望となるだろう。恩人殿の名前を後世に残したいのだが、特別な事情があるとは分かっているが名前を教えてもらえないだろうか?」

「ん~?名前?」

「そう、名前を頂きたい」

「無いよ~?」

「「「「え?」」」」

「だから、名前無いの」


 人間には一人一人呼ぶための名前があるみたいだけど、俺には名前を付けてくれる生き物が居なかったから名前は無いのだ。別に名前が無くて、困った事無いし村ではチビとかおい、とかお前って呼ばれてたし。人間みたいにいっぱい居る訳じゃないから、困らないよね。


「そんな・・・・」

「なんだと・・・・」

「まさか、名前が無いとは」


でも、人間にとって俺に名前が無いのは悲しい事みたい。俺が人間の姿をしてるからかな?

「じゃあさ~」

「なんだろう」

「ウォルが名前つけてよ!」


 別に欲しいと思ってなかったけど、ウォルに名前を付けて貰うんだったら良いかも。


「いや、俺でいいのか・・・・?」

「良いよ~」

「その栄誉承りました。それでは・・・・初めて見た時から思っていた言葉を貴方の名前に」

「うん!」

「クーア」

「クーア?」

「はい、古の言葉で水の祝福という意味です」

「クーア、クーア!うん、俺クーア!」


 クーア、クーアか!うん、すごく気に入った!なんだか響きも好きだし俺の大好きな水の名前なのも良い!


 俺は名前をもらってみんなの周りを駆けまわってると


「気に入って頂けたようで良かったです」

「この場に居られて良かったです」

「クーア様名前を授かったことにお祝い申し上げます」

「クーア様おめでとう!」

「ありがと!」


 みんなにお礼を言われて嬉しい!よ~し俺大地の復活頑張っちゃうぞ!!!


「ありがとう!お礼に大地を元通りにしてあげるね!」

「え?」


 よ~しじゃあ、地面の下に水を引いて~枯れてしまった植物には生命の力をあげようね。調べてみたら此処って昔は植物豊かな場所だったみたい。枯れた土の中にはいろいろな植物の種が眠ってる。


 さ~て、目覚めの時間だよ!う~ん・・・・この姿だと少しやりずらいな。みんなになら姿を見せても大丈夫だよね!


「クーア、大地を元通りにするってどういう事だ?」

「ん?大地に水をあげて植物達を生き返らせてあげるんだよ」

「そんな・・・・生き返らせるほど魔法はいくらクーア様でも」

「大丈夫だよ~」


 俺は魔法が使いやすいように、水の中に飛び込むと俺の本来の姿に戻る。


う~ん、やっぱり本当の姿の方が楽だね!水の中も自由自在に動けるし!


 水の中を泳いで満喫した後水面から出て中央で体を丸め意識を集中させ、周りにある生き物や水を感じ取る。


「まさか・・・・龍!?」

「そんな・・・・」

「生きている間に出会えるとは・・・・」

「クーア様が入った場所から龍が・・・・クーア様って龍だったの!?」


 ここら辺にある全ての大地と植物の鼓動を感じ取り、大地の記憶を読み取る。此処にある大地は遥か昔から存在し、これまでの事をすべて覚えている。俺はその記憶を読み取り、昔の姿に戻る手助けをするだけ。俺の力があれば簡単なことだ。


 大地に水を巡らせ、植物達に目を覚ませる水を与えれば大地の再生力で戻っていく。この大地には元から豊かになるように魔法が掛かってけど、弱まってるそこに俺の魔力と俺の魔法を合わせれば・・・・


 瞬く間に大地は色を取り戻し植物は芽を出し、見渡す限り無だった地面が大きな木が生えるまで豊かさを取り戻していく。


「なんてことだ・・・・」

「凄い・・・・」

「これが龍・・・・」

「これが本当の大地・・・・」


 4人は命を取り戻していく大地に目を奪われ、それを行っている龍をあがめるように跪き首を垂れた。長年死んでいた大地が芽吹いていくのは昔から伝わるおとぎ話のようだ。


 よっし、これで終わり~ってなんでみんな倒れてるの!?


 魔法が終わって目を開けてみるとみんな倒れていて吃驚して近寄ってみると、みんな意識はあるみたい。なんか頭を下げてるけどどうしたんだろ?


「キュウ!(どうしたの?)」

「偉大なる龍様今までのご無礼をお許し下さい」


 なんでまた変な口調になってるの!?さっきよりもその話し方だと悲しくなるんだけど!


「キュウキュ!(その話し方止めて!!!)」

「まさか、龍様だとは思っておらず数々の無礼をこの謝罪、我が命を持って」


 何でまた命とか言い始めてるの~!?急いで止めさせなきゃ!あ!この姿だと話せないんだった!


 急いで人間の姿に戻りみんなの前に立つと


「だから、その喋り方止めて!あと、命もいらない!!!」

「しかし!」

「しかしじゃない!!!その話し方だと悲しくなる!」

「そんな・・・・だが貴方様は偉大なる龍、砕けた話し方など失礼に・・・・」

「その俺が嫌だって言ってるの!龍だけど、みんなが信仰してる守護竜じゃ無いし」

「しかし・・・・いえ、貴方様が望むのであれば」

「皇子・・・・」

「みんなもクーアの望む通り」

「「「はっ」」」


 うんうん、俺ウォルに名前呼ばれるの好きだしみんなから呼ばれるのも好き。だからいつも通りに接してほしいんだ。


「その・・・・クーア」

「な~に?」


 みんな泣いて顔をぐしゃぐしゃにしながら 


「大地を復活させてくれてありがとう」

「ありがとうございます!」

「良いよ~」

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