俺、水を生き返らせる!
とりあえず本当に水があるのかを確認するために、昨日レイランが魔法を使っていた場所に来たよ~。
「ここに水が・・・・」
「でも、昨日調べたけどこの水は水源とは繋がってなかったよね?」
「それはね~この水は大地が動いたことによって湧き上がったからだよ。そのあとその水が通った道が塞がっちゃったの」
「なるほど、じゃあここにある水の水源が地下深くにあるのね」
「そうだよ~」
「3人とも魔力を貸して!地下深くなら私の魔力じゃ足りない」
「「「了解」」」
3人はレイランの背中に手を当て目を瞑ると、手から自分の魔力をレイランの体に流し込み始めた。
おお~凄ーい。
村の時に聞いたけど他の人に魔力を流し込むのは高度な技術なんだって。人によって魔力の性質が違うから、加減を間違えれば傷つけるし危険なんだ。それを当たり前のように出来るのは凄い。みんな少ないけど竜の加護を持ってるから魔力を合わせやすいのかな?
レイランは3人の魔力を受け昨日見た時より強い探知の魔法を発動させ、地面深くまでどんどん調べていく。この勢いなら、水まで辿り着くかな。4人の魔力は村の人達と比べてとても多いけど、その中でもウォルの魔力量が一番多い。
レイランの魔法が地下深くにある水の先端に当たった時、レイランは弾かれたように魔法を消すと頭を抱える。
大丈夫かな?そう思って駆け寄ると、
「水はあったわね・・・・でも」
「あぁ感じられた。汚染された魔力に染まってるな」
「難しいな・・・・これだとこの水は使えない」
「あぁ残念だけどな」
「レイラン大丈夫?頭痛いの?」
冷や汗を額に搔いてるレイラン。
「大丈夫よ、少し汚染された魔力にやられただけ」
「そっか・・・・生き物にとって汚染された魔力は毒だもんね」
探知の魔法って直接魔力を感じるから触った瞬間に少しだけ汚染された魔力が流れ込んじゃったのかな?可哀そうだから、治してあげよっと。小さな水球を作り口に入れてあげると消費した魔力をすべて回復し、頭痛も取り除いてあげる。
「ありがとうございます」
「いいよ~」
「恩人様ありがとう」
「だけど、汚染された魔力をどうするか・・・・」
「神官を呼んでも浄化は難しいだろうな」
「汚染されていない水源は無いのだろうか」
「大体の場所は汚染されてるよ~」
「そうか・・・・戦いの影響がこんなところにも」
みんな水をどうにかしようと、考えてるみたいだけど人間がこれをやるのは無理だと思うんだよね。汚染は酷いし水の量は大量。大量の人間を呼んでも、大地を再生させるのは無理だろうね。てことは・・・・
俺の出番!!!
「ねぇねぇ俺が何とかしてもいい?」
「いや、ありがたいがこれは無理だろ?」
「恩人殿に迷惑をかけるわけには・・・・」
「俺がやりたいの!」
「ここは恩人様の好きなようにした方が良いのでは・・・・」
「だが、危険なことをさせる訳には・・・・」
アルベルドがウォルを説得してる間に、勝手にやっちゃおう!それじゃあ、お水さん来てくださーい。
地中に魔力を飛ばし地面を破り水を地上までぐんぐんと持ってくる。
あ、地面から出す前に浄化しなきゃね。浄化魔法を水に飛ばしモヤモヤを吹き飛ばし綺麗にすると噴水のように、湧き出させる。
お~綺麗!久々の水だ~やっぱり水が無いと駄目だよね~久々に泳ぎたいし泳げるくらいの水場作ろっと
「いやいやマジで?」
「これは、驚いたな」
「え、どんな魔法を使えば・・・・」
「凄まじいな・・・・」
シャールクが尻尾をピンと立てながら驚いてるけど、これぐらい俺にとっては楽勝なのだ!水の事なら何でも俺にお任せ~綺麗にすることも、水を増やすことも俺なら簡単。
「凄いな・・・・水がこんなにもこの土地に眠ってるとは」
「あんなに汚染されてたのに、どうやったの?」
ウォルは噴き出した水を手に取り考え深そうにしてるけど、俺良いことしたんだよ・・・・ね?なんかレイランの目が怖いしウォル助けて!?
「凄いな坊ちゃん!」
「恩人様は一体・・・・いや、これは失礼だな」
湧き出した水を全身に受けるみんな。人間の体で泳ぐの初めてだけど、魔法を使えば何とかなるでしょ。水を操り俺の体を押してもらい水中を縦横無尽に泳ぐ。
「みんなは入らないの~?」
「折角だ、水を浴びさせてもらおう」
「そうね」
「これ程の水、いつぶりだろうか」
「よっしゃ~今行くぜ坊ちゃん」
3人は服を脱ぎ肌着一枚になると水に入ってくるけど、シャールクだけ岩場に行ってしまった。
お水入りたくなかったのかなと思ってたらシャールクが隠れた岩場から、黒くてでっかい生き物が出てきた。
「お~し、入るか」
その生き物が口を開くとシャールクの声が。もしかして・・・・シャールク食べられちゃった!?
「ん?どうしたんだ坊ちゃん固まって。俺だよ、シャールクだよ」
「え!?シャールク?どうして姿変わっちゃったの?」
「昨日も言っただろ?俺は豹の獣人だって、これが俺のもう一つの姿さ」
シャールクは胸を張りながら誇らしげに言う。
へ~これが豹って生き物なんだ。カッコいいし可愛い!黒くて艶々してるけど筋肉があるししなやか。シャールクも水の中に入ってきたけど、みんな端の方で浸かってるだけなんだよね~せっかくだから泳げば良いのに。
「泳がないの~?」
「残念だが俺は恩人殿みたいに泳げないんだ」
「私も」
「俺もだ」
「俺も~」
「え、そうなの?」
「ここまでの水がある場所はもう無いからな・・・・泳ぎを学べる場所が無いんだ」
「水のある場所と言えば人が飲むために水を集めてる貯水池しかないものね」
「だな~貯水池で泳ぐ訳にもいかないし」
なるほど~泳げる場所が無かったのか。泳げるように深めの水場にしたんだけど・・・・折角だから水の中見せたかったのに。この水には俺の水が混ざってるから底には植物が育ち緑の楽園になってる。綺麗だから見せたいけど・・・・そうだ。
「じゃあ俺がみんなを泳がせてもいい?」
「泳がせるとは・・・・?」
「水でみんなの事を押すの!この水は俺の水が混じってるから中で呼吸もできるよ!」
「・・・・またとない機会だ、お願いしよう」
「は~い」
許可も貰ったし、みんなを水の中へ招待!みんなの事を水の中に招き入れて体を押すとみんな水の底の景色に目を奪われていた。
「凄い・・・・あれ、喋れるの!?」
「あぁ美しいな」
「これが本来の姿なのか・・・・」
「こんな体験誰もしたことないだろうな」
体を押してあげて植物に触らせてあげたり、上下左右色々な方向に泳がせてあげるとみんな喜んでくれた。しばらくの間水の中でみんなと遊んで陸に戻してあげるとみんな俺にお礼を言ってきた。
「貴重な体験、そして水を復活させてくれてありがとう。この恩は何としてでも返そう」
ウォルが俺の前に跪くと、3人も同じように俺に跪いた。
「別に気にしなくて良いよ~俺がやりたかっただけだし」
「いや、貴方様は貴重な水を復活させてくれたのだ。礼を尽くさなければ、エルヴィラス皇国に泥を塗ることになる」
「それ、ヤダ」
「何か不快な事をしてしまっただろうか」
「だから、その喋り方やだ!!3人と話すときみたいな感じが良い!」
「しかし・・・・」
「ヤダ!!!」
「分かった、そう望むなら」
「うん!」
話し方を変えられるとなんか距離が出来たみたいで嫌だ。ウォル達とはお友達になりたいし・・・・
「さて、早急に皇都に戻りこの水を運ぶ手段を考えなければ」
「そうね、折角の水源なんだから大切に使わないと」
「あぁ必要な場所も多い。まずは、人民にいきわたるように量を決めないとな」
「ん?なんで?」
「いくら大量にあったとしても限りがあるだろ?だから大切に使わないと」
「?限りなんて無いよ?」
「え?」
「だから、水が枯れるなんてこと無いよ?俺が作った水だから消える事無いよ?」
「はぁ!?」
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