俺、すごい?

 朝が来た~~~!夜の時はあんなに涼しかったのに朝になると一気に暑くなるなんて面白い場所だな~。俺が起きた時にはもうみんな起きていて朝ごはんの準備をしていた。朝も食べないのか?って訊かれたけどお腹空いてないし、みんなが食べてる物はあまり美味しそうじゃないからいいや。


「そうか、じゃあ昨日の続きの話でも」

「あっ聞きたい!」


 ウォルは俺を隣に座らせると、俺の前に水を置き雷で人型を作りながら話し始めた。


「俺はレイラン程詳細に動かせないが楽しめたら幸いだ。昨日は代表的な種族の話で終わったからな、今日は少し細かく話そうか」

「他にもいるの?」

「あぁ沢山いる。まずは、俺達が一番話さなければならない種族竜だ」

「!」


 え、龍?もしかして、俺の正体バレてる!?みんなも俺の事狙ってるのかな、だからこの話をし始めたのかな・・・・居心地よかったんだけどな。龍の姿だったら尻尾が下がってしまっただろう。一日しか一緒に居ないけどウォルの気配はとても落ち着くし優しさで満ち溢れている。離れたくないけど・・・・


「竜というのは大いなる存在であり星の守護者だ。竜にも種類があり、雄大な体と空を裂く翼自然界の頂点とも呼ばれる竜と魔法を自由自在に操り自然現象の体現とも呼ばれる、優雅な体に神秘的な気配を纏う龍。この二種類だ」


 気分が落ち込んでいる俺に気づかずに話し続けるウォル。話を聞いてると俺は龍の方だね。


「そして、俺達いやエルヴィラス皇国の大多数は守護竜エルディラン様と守護竜ヴィラス様の末裔だ」

「え?」


 え?竜の末柄ってどういう事?昨日みんなは人族だって言ってたよね?もしかして俺みたいに竜が姿を変えてるってことなのかな?じゃあ!俺と同じ!?キラキラした目でウォルを見つめると、その様子に笑いながら


「とは言っても俺達に宿っている竜の血はとても薄いがな。俺達の皇国は遥か昔この大地が緑と水で溢れていた時に、守護竜エルディラン様と守護竜ヴィラス様がご自分の番の方と竜を信仰する民と一緒に移り住んで出来た国なんだ」

「そうなんだ・・・・ウォル達はその竜達の子孫ってこと?」

「そうだ、信仰者達には加護を与えその加護が今でも続いてるんだ」


 へ~竜って加護を与えることが出来るんだ。加護は知ってるよ、お気に入りに対して力をあげる事でしょ?俺も加護の与え方は知ってる。村の人達は生き物たちに会えてうれしかったから一緒に居たけどお気に入りと言われるとそうじゃなかったから加護は与えなかった。でも・・・・ウォルならあげてもいいよ!


「ウォルは直接竜様の血を引いてる一族だぜ」

「そうなの!?」

「あぁ初代皇帝がエルディラン様だからな。その子孫である皇族は代々竜の血を引いてるんだ」

「へ~凄いんだね!」

「だが、力薄れてしまっているからな6代目までは竜の姿になることも出来たが、今では居ない。ちなみにアルベルドも竜の血を引いてるぞ」

「え!」


 驚いてずっと周りを警戒してくれていたアルベルドの方を見ると、誇らしそうに胸を張ると


「そうだ。俺達白風はくふうの一族は守護竜ヴィラス様の末柄だ」

「お~!!!」


 アルベルドの所まで歩いて行き凄い凄いと周りを飛び跳ねていると、アルベルドが俺を抱き上げ肩車をしてくれた。アルベルドも怖い顔してるけど、優しく好き!高くなった視点にはしゃいでいると、


「だから俺達エルヴィラス皇国は竜達を信仰し尊重するんだ。そして、多種族を尊重し国を守ることをもっとうとしている」

「そうなんだ~」


 ウォルは真剣な表情で話してくれる。みんなからは、村の人達が出してたもやもやは出てないけど、綺麗なキラキラを出している。


「何故この話をしたのかと言うと、俺達が旅している理由がこの国を守るためなんだ」

「守る?襲われてるの?」


 もし、襲われてるんだったら俺が全部流しちゃうからね!エルディランとヴィラスの二人とは面識ないけどお気に入りが襲われてたら嫌だもんね。俺が代わりにやってあげよう。


ふんす、と胸を張っているとウォルは悲しそうに


「いや、襲われている訳じゃないんだ」

「そうなの?」

「あぁ」


 ウォル達を見るとなんだかみんな悲しそう。なんでだろ、みんなが悲しそうだと俺も悲しい。


「今エルヴィラス皇国は深刻な水不足なんだ。雨が降らず植物は枯れ、飲み水でさえギリギリで疲弊しているんだ。水が無ければ食べ物も育たず、何とか耐えてきたがそろそろ限界なんだ」

「だから私達は新たな水源やこの水不足を解決する方法を探して旅をしているの」

「だが、この1年まったく成果が出ない。たまに小さな水源を見つけはするが国全てには届かず、その地に居る者たちを少しの時間助けることが出来るだけ」

「ウォルは魔力が多いから、無理やり水源を湧きあがらせて何とかしてたんだが。その疲労と命を削った行為でさっき倒れちまったんだ」

「・・・・」


 ウォルがあんなに弱ってたのは、人を救うためだったんだ。魔力を極限まで使ったら、命にかかわる。そんな事を何度もしてたら当然弱っちゃう。・・・・あれ?でもなんで水不足になってるんだ?だって・・・・


「ねぇねぇ、なんで水が沢山あるのに水不足になってるの?」

「・・・・?いや水なんて何処にもないだろ?」


 ウォルは俺の質問の意味が分からず首を傾げる。


「?地面の下にいっぱい水はあるよ?あ、でも気持ち悪いモヤモヤがあるから人間は飲めないよね」


 忘れてた。生き物にとってあのモヤモヤは命に係わる程の毒だもんね。じゃあ、俺が何とかしてあげよう。まずは、地面を流れてる水と俺の水を混ぜれば大地は元気になるし生き物達にも良いよね。雨は雲を作って~


 俺がどうにかしてこの大地を復活させてあげようと、考えているとみんな肩車されている俺の元に集まっていた。


「どうしたの?」

「地面の下に水が沢山あるってどういう事!?私の探知じゃ全く見つからなかった!」

「モヤモヤとはどういう事だ!?」

「坊ちゃんはなんでそんなこと知ってるんだ!?」

「沢山水がある場所を教えてもらえないだろうか!」


 怒涛の質問攻めに俺は吃驚しちゃったけど、みんなこんなに必死になる程に水が欲しいんだね。


「レイランの魔法は地下深くにある水源まで届いてなかったんだよ~もっとも~っと深くにあるから。モヤモヤはモヤモヤだよ~魔物と同じやつ。知ってるのは感じるから、水はそこら中にあるよ~」


 一つ一つ質問に答えるとみんな難しい顔になり


「かなり深くまで探ったのにそれ以上って・・・・私の探知じゃ見つけられないし、水を持ってくるのも難しい」

「モヤモヤ・・・・魔物と同じということは。汚染された魔力か・・・・それでは人は飲めないな」

「感じるって・・・・」

「我々が探していた物はそこら中に有ったのか・・・・」


 みんな話し込んでしまったし、俺は水を持ってくる方法を考えよっと。


 まずは、地下から水を持ってきて~地面のいたるところまで引けばいいかな。それでたまに水を地上に湧かせておけば生き物達が飲みやすいよね。大地によっては水を流さない方が良い場所があるから気を付けないと。あとは~


 俺が色々考えている間に話し合いは終わったらしい。とりあえず昨日見た水の場所まで行くことになった。

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