第240話 教師になる

 私はとある部屋までやってきていた。

 見たことのあるトロフィーが並び、そして目の前には扇子を持っている女性が一人。


 それは一体どこか……。


 そう!


 いつぞやの理事長室である!


「というわけで、今日からうちの大学院の教師だ☆」


「はあ!?」


 え?


 あり得んくない?一応この広い世界の中で大学院って、100以上あるはずなんだけど……。


「どうして、レナ理事長が経営してる大学院に私が!?」


「なんだいなんだい?そんなの嫌なのか?しくしく……私ってばかわいそう!」


「お前そんなキャラちゃうだろ!」


 一応説明しておこう。


 なんかよくわからんうちに教師になったとさ!


「って、ちゃんと説明してくださいよ!」


「はいはいわかったよ。まずはどこからかな?」


 そういうとレナ・ドール理事長は語りだす。


「えっと、まずあなたがいない間に学院は公爵領近辺へと移動しました。そして、ここ。あなたが通っていたころの場所は見事大学院へと生まれ変わったというわけだ!」


「あ、はい」


 私の提案がなんか通ってた……。

 ま、まあ?べ、別に適当に考えた提案だったわけでもないし?


「ん?なぜ震えてるのだ?」


「ななななんでもないアルよ!?」


「む、そうか。それで、ここは新たに大学院と生まれ変わり、名を『ベイリア』大学院だあ!」


「なにそれだっさ」


「いや、真顔はやめてよ……」


 いや、なんかダサくない?私の気のせい?

 むしろこれが今の流行なのだろうか?


 エルフの森へと転移して長いからな。

 そういうのが流行っていたとしても、不思議はない。


「あ、ちなみに名前の由来はあなたが活躍した学校での決戦で活躍したあなたの名前とレイナさんとオリビアさんの名前からとったの!」


 私の名前?


『ベ』アトリス、レ『イ』ナ、オ『リ』ビ『ア』……。


 ……………。


「名前の切り抜き方下手くそかい!」


「まあいいでしょう?私が経営しているんだから。それに、あなたは今日からここで働くのよ?」


「うぐ……」


 それに関しては文句の一つも言えない……。


「話を戻すわね。それで、大学院が出来た後、なんか妙に発行してる美人の女の人が現れて、ベアトリスがそっちに行くから向かい入れてほしいって言われて、今に至ります」


 精霊さんは根回しが上手なようで……。


「それで、こんどはこちらから、質問してもいいかしら?」


「はい、なんでもどうぞ」


「そこにいる二人は誰かしら?」


 そうレナ理事長の視線の先にいるのは、ユーリとレオ君であった。


 ユーリは私の陰に隠れている。

 ……なんか私よりも女の子らしい格好をするのはやめてほしいものである。


 レオ君は堂々と、それで優しく微笑んでいた。

 うーん……獣人だからだろうか、どんな姿でもかわいいが勝ってしまう。


「えっと、こっちがユーリで、こっちはレオ君」


「ユーリ?どこかで聞いたことのある名だな」


 ユーリの耳がピクリと動く。

 おそらく、魔王としての名前が知られているのではと、彼は思っているのだろうが、おそらくは……。


「理事長……この子は、私の肩に乗っていたあのキツネですよ」


「ああ、そうかそうかキツネ……は?」


 あ、固まった。


 ほっと落ち着いたユーリは前に理事長と会った時の姿、キツネの姿へと変化する。


「うわぁ……」


「ちょっと!?なんで引いてるの!?」


 と、ユーリ。


「うわ、喋ったよ……」


「酷いよこの人!」


「まあ、そういうことですよ理事長」


 どこか納得いかないような表情のままレオ君を紹介した。


「この子は……恋人?」


「「「違います!」」」


 ユーリ含め、三人の息があったのは少し久しぶりな気がするのは私だけ?


「友達ですよ!」


「あ、ああそうか。まあ、いいでしょう」


 私は気迫で押し切った。


「そ、それでね。あなたには申し訳ないのだけど、残念ながらレイナとオリビアはここにはいないのよ」


「まあそうでしょうね」


「会いたくなったら、公爵領の近くに……」


「それはまだできそうにないですけど……」


「え?」


「何でもないです」


 精霊に忠告を受けており、今向かえば悪魔に居場所がまたバレてしまうのだ。


 だから、まだ行くわけにはいかない。


 まあ、会いたくないと言ったら嘘になるけどね。


「まあ、とにかく今日から教師になるのだから、一応担当を教えておくわ」


 そういうと、簡単な説明を最後に受けた。


「あなたのは担当は実践。大会の主催から、野外の討伐訓練を君に任せよう!」


「デスヨネー」


「わかってくれて何より!」


「いやわかってはないんだけどね……」


 いつもこうだよ!エルフの森でダークエルフになりすまして教官となった時も、実践を担当してたんだけど!?


 こんなにか弱い少女が年上相手に実践訓練とかふっざけんな!


「こんなにか弱い少女が年上相手に実践訓練とかふっざけんな!とか思っているであろうベアトリス君のために――」


「なぜわかったし」


「そういう顔してたから」


 どういう顔だよ!


「で、そこの二人にも教員をやってもらおうかなと」


「僕も?」


「ご主人様と働ける!?」


「ご主人様……まあキツネだものね。ええそうよ」


 ユーリが働くとかものすごい不安なんだけど?

 魔王だから、知能はまあ……うん。


 あるかもだけど、こいつに仕事ができるとは思えないの私だけであろうか?


「よし、二人も今日から副教師として、ベアトリスのサポートをするように!」


「「はーい」」


 そうして、なんだかんだ説明が終わる。


(一直線に向かってきた分、足が疲れたから早く寝かせてくれ……)


 そうつぶやきながら、部屋を出ようとしたときだった。


「そういえば、なんで公爵領襲撃事件からも消息を絶ってたの?」


「「「は?」」」

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