第5話 勇者降臨
結局、私は1人の人間を選んだ。
凄い逸材よ!
何しろ、皆んなから盗賊王と呼ばれる、父親の息子だし、母親もまた「殺戮」なんてあだ名を持つ残酷な女。
まだ、14歳なのに裏切者は簡単に殺す強い心を持っているし、実際にこの歳で20人も殺している。
素晴らしいわ、親の教育が良かったのか、凄く強いし..この子なら簡単に魔族を駆逐しそう。
何しろ、「情けを掛けるな、殺して奪え」なんて事を親が教えている位だから、最高よね。
うん「気に決めたわ」この子しか、勇者は居ないわ。
15歳になり、アモンは成人の儀式を受けた。
盗賊なので、田舎の教会で誤魔化して受ける..
この世界は、ジョブが無いと生きるのが辛い..だから犯罪者でも誰でもこの儀式は受ける。
大体が、田舎の教会でお金を握らせて..お互いに黙っているのが暗黙の了解だ。
近隣からきた5人と一緒にアモンが並ぶ。
神官様から紙を貰い神官の杖に合わせて祈りを捧げる。
すると、紙に自分のジョブが出てくる。
普通はそれだけだ。
だが、アモンの時は天使が降りて来た。
周りの人は嬉しさで興奮しているけど..当のアモンは顔色が良くない。
天使が降りてきて...真っすぐにアモンの方に向かった。
天使はアモンを見て、青い顔をし..嫌そうに手を握った。
こんな嫌そうな天使は見た事が無いだろう。
天使が来る、これは4大ジョブの場合に起こる現象だ。
恐らく、アモンは「勇者」「賢者」「剣聖」のどれかのジョブになる。
(聖女は女専門のジョブなのでありえない)
アモンのジョブは「勇者」だった。
「これは凄い、何とアモン、いやアモン様のジョブは勇者だ」
「勇者...」
アモンは戸惑いのなか、司祭や他の皆んなに囲まれていた。
俺が勇者?
何でだ! 女神は気がふれちゃったのか?
人を殺し、女だって犯した..それが「勇者」..
どう考えても「盗賊」とかじゃねのかよ..
「勇者様..どちらへ..」
「これから、領主様が挨拶にきますからお待ちを」
(不味い..逃げないとヤバイぞ)
アモンは逃げるようにして..教会を出て行った。
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