それは、沈まない赤銅の夕陽
少年如月駆《きさらぎかける》は幼い頃、事故と父に捨てられたことで、心と体、両方に傷を負うことになってしまった。
顔に刻まれた切り傷は人を寄せ付けず、それは心の傷をも広げてしまった。
そんな彼が長く暮らした町から、生家に帰ることが決まる。
懐かしさと新鮮さを感じるその地で、彼は不思議な夢を見る。
それは自らが少女を殺す夢。それは自らに助けを求める少女の声。
それは異常な事件の前触れであり、彼はそれに巻き込まれると同時に、今まで色彩を失った世界が急速に色を取り戻していくのを感じ取っていた。