キムタクがブランディングしている間私は寝ていた

「『マスカレード・ホテル』シリーズを見たんだ」

「珍しい」

「ひとえに、みこの動画に足りないのはキムタクなのではなかろうか?」

「どの動画にも足りてないわ、そんな要素」

「違うんだ、聞いてくれ。キムタクはもう、どの映画に出てもほとんどキムタクだろう?」

「江口洋介もだいたい江口洋介ね」

「佐藤二郎も」

「たまに怪演するけど」

「徹底したキャラ作りとカリスマ性が足りぬのではと思ったのだ」

「……新米狐っ子神様以上のキャラ付けが?」

「もっと自分を確立したい」

「日本書紀にでも出るの?」

「マスカレードホテル、キムタクが重い荷物を毎回持ってあげるのが解釈一致すぎた。ナイトの終わりのディナーの約束の仕方もキムタクだったな」

「台本に『どうぞご自由に!』って書いてありそうだったものね」

「みこも企画どうこうより『狐っ子がやる〇〇』のような売れ方がしたい」

「『京都は伏見に里帰りしてみた』」

「おそれ……おそれおおい! まだ『酸っぱい葡萄を食べてみた』とかのほうが」

「国境越えるのはありなのかしら」

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