二十七話


「秘密を知られたからには、タダで帰すわけにはいかないな。 お仕置きだ、淫乱ロリ!」


「っ!?」


 チビ女――葵は机に両手を張りつけにされ、尻を突き出した状態にされる。 背の低い彼女はつま先をピンと伸ばしプルプルと足と尻を振るう。 そんな彼女の服を脱がす。 スカートとパンツを。


「や、いやぁ……」


「ふん。 小賢しい尻には百叩きの刑だ!!」


――パァン!


「いひぃ!?」


 たった一回で葵の白く小さい尻は赤く染まる。

限界まで反る背中、突き上げられる小尻。 そんな尻に俺の平手は軽快な音を奏でる。


パンパンパン!


「あぅ、ひっ、ああっ」


 痛みに耐えるように葵の両拳は固く握られる。

そんな彼女に俺の棒は硬くそそり立つ。 タキシードのズボンをこれでもかと押し上げて。


「装備解除」


 さぁ、お仕置きを始めよう。


「やぁああああ!!」


 嫌がる彼女の尻をガッツリと掴み、俺は激しくお仕置きをする。

しかし、数回尻を鳴らしただけで俺はビクンビクンと止まってしまう。


「ふほおおおおおお!!」


「……え、もう? やっぱり、……オーガは早漏なの?? ……クスクス」


 振り返った葵はニヤリと笑う。


「ち、違う! お、俺わぁあああああ!?」


 逆襲。

 小柄な葵に簡単に押し倒された俺は、逆にお仕置きされてしまった……。



◇◆◇



コンコン。


 見慣れない天井だ。

ドアを鳴らすノックの音で、俺は目を覚ました。


「……」


 恐ろしい夢を見ていた気がする。

額にかいた汗を拭う。 体は平気そう。 タキシードの効果かな。


「鬼頭君。 起きてる?」


「……ああ」


 ガラガラガラと、視聴覚室のドアが開かれる。

 現れたのは天使。 

今日もワンダフルに可愛い木実ちゃんだ。

 朝一で彼女を見れるなんて……。 家じゃいつもジェイソンの厳つい顔で起こされるからな。


「おはよう。 鬼頭君」


「オーガ、おは」


「……」


 それに友人A・Bもついてきた。


「っ……」


「?」


 俺はなぜか友人Bを見ると肩が一つ跳ねた。

 不思議だ。


 窓の外を見ると、まだそれほど陽は高くない。

 七時くらいかな。 時計が壊れているので正確な時間は分からないが。 

 昨夜の校庭襲撃の後は、魚頭も野犬も襲っては来なかった。

しかし、ずっと縄張り争いをする野良猫の如く、両者が威嚇しあっていた。 


『オオォーーン!』

『キコォアアアアア!』


 学校では戦いはなかったが、外で魚頭と野犬は戦っていたのかもしれない。 警戒はしながらも、疲れていた俺は眠ってしまった。

 肉体も精神的にも、相当疲れていたんだと思う。


「はい。 朝ごはんだよ」


「……ああ」


 おにぎり。

木実ちゃんの手作りおにぎり!


「足りなかったら言ってね!」


 笑顔でそう言ってくれる木実ちゃん。

 小さいおにぎりが三つ。 正直、俺の腹にはまったく足りない。 しかしこんな状況じゃ十分だろう。 彼女に迷惑なんて掛けられません。

 オカズは天使な笑顔で十分です!


「ね?」


「そう? まったく分からないわ……」


 友人A・Bがコソコソなにか耳打ちしている。 犬耳で強化された俺には丸聞こえだが。


「ふぉっ……」


「だ、大丈夫? はいっ、お水のんで!」


 食べたおにぎり。

具はめちゃ甘い豆が入っていた。

 俺は水で流し込む。


「……美味しい?」


「美味い」


「よかったぁ!」


 木実ちゃんの手作りならなんでも美味しいです。


「ね?」


「あぁ……そうかも?」


 友人A・Bはコソコソなにか耳打ちしている。


 俺はおにぎり三つをペロリと平らげた。

コクコクと水を飲む。 体に水分が染み渡る。 

 体の調子を確認。 

 うん。 問題なさそうだ。


「オーガ、約束」


 眠たげな眼差しの奥に欲望の渦を宿らせる葵が、声を掛けてくる。

 約束ではなく脅迫だったような気がするけれど。


「……おう」


 野犬撃退の後、葵が要求してきたのはパワーレベリング。

ゲームの話ではなく、現実での話。 まぁこの状況を現実と言っていいか分からないが。 


『魔法。 ……使いたい』


 酷く利己的な願いだ。

 きっと魔法少女に憧れているんだろう。

 魔法購入に必要な魂魄の獲得。

それを手伝ってほしいとの要求だった。


「よろしくお願いします!」


「……私も」


 一緒に戦うと言っていた木実ちゃん。

それに友人A、褐色肌の体育会系ガールも。

 短めのポニーテール、たしか名前はミサ。

あまり乗り気ではないようだが。 


 パーティの結成か。


 むっ! これってはた目にはハーレムに映ってしまうんじゃないか!? 俺は木実ちゃん一筋だぞっ!


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