第6話 ギルドへ! 謎の金貨1枚

近くの街にようやくついた。


街の名前はアルフ、大昔に勇者が住んで居た街だ。


勿論、今の勇者ではなく、300年くらい前にいた勇者ルードルが魔王討伐後に住んで居たらしい。


まぁこれは、僕ちゃんが助けてあげた商人の娘、ルーが教えてくれた事だ。


門を通り街に入った。


本来なら面倒臭い検問があるが、僕ちゃんが冒険者証を出すと素通りできた。


勿論馬車事いっしょだ。



「それではソード様、此処でお別れです」


「送ってくれてありがとうございます!」


「こちらこそ、護衛してくれてありがとうございました」



「ここ暫くは市場に居ますから良かったら顔出して下さい、サービスしますから」


「寄らして貰います」




「ソード様、ルーはね、まだ子供だけど大きくなったらお嫁さんになってあげる!」


「あはは、無理しなくて良いよ、僕ちゃん気持ち悪いのは良く解っているからさ! でも有難う!」


「ソード様、ルーは本当に」


「そういう事は、本当に好きになった人が出来たら言うんだよ! 僕ちゃんみたいな気持ち悪い男に言ったら一生付きまとわれるから気を付けた方が良いよ」



「一生...」


「それじゃね」



一生傍に居て貰えるなんて..素敵だよね。




さてとこれからは1人だ、冒険者ギルドに行って登録変更をした方が良いだろう。



「アルフ冒険者ギルドへようこそ! 本日は依頼でしょうか?」


「僕ちゃん、パーティを抜けたから登録変更に来たんだ」


「解りました、それではカードをお願いしますね」




「僕ちゃんだって、僕ちゃん役立たずだから追い出されちゃったんでしゅね」


「お前、良い歳して僕ちゃん、冒険者なんて辞めた方が良いぞ」


「いい歳して僕ちゃん..あー恥ずかしい」


「顔は良いのに残念ね! 僕ちゃんは無いわ」





ブラックカードの冒険者証、世界で4枚しかない特別な物。


「おいっ冒険者黙りなさい..黙らないなら資格停止しますよ」



「ラビィちゃん、何言っているんだ、顔が良いからって庇うなよ..ギルド特権かよ」


「黙りなさい! この方に文句を言うならギルドは敵になるそう思いなさい」


「何をむきになっているんんだよ優男だからってよ! ギルマスに言いつけるぞ!」


「ギルマスが知ったら本当に除名されちゃいますよ..良いから黙って下さい..この方はSSランク冒険者 ソード様ですよ!」



「余り怒鳴らないであげて! 僕ちゃんが嫌われ者なのは知っているから..皆もごめんね」



可笑しいな、ソードと言えば剣聖なのを鼻にかける嫌な奴だって聞いてたけど..


「すまない、馬鹿にして悪かった、ごめんな」


「あたしも悪かったわ」


「俺も」




「良いよ、良いよ気にしないで良いよ、気持ち悪がられる事には慣れているから、折角楽しんでいたんならそのまま続けて..受付のお姉さんもこれは無かった事にしてあげてね」



「ソード様が言うなら勿論です..それじゃせっかくなのでサロンの方でお話を聞きます」


綺麗な個室に通された。


ここは上級冒険者にのみ許される特別な部屋「サロン」だ。


上質なお茶にお菓子、望めば食事まで用意される..最も勇者パーティーは忙しいので余り使わない。


「それではギルマスを呼んできますので暫くお待ちください」




「どうしたんだラビィ? 何があったんだ」


「SSランクの冒険者、ソード様が来られました」


「剣聖ソードが来ただと? 直ぐに準備する」



暫くするとギルマスがきた。


僕は自分の現状について話した。



「それは大変でしたな、まぁ勇者パーティーで無くなってもソード様は個人ランクでSSですから問題ありません、SSランクのソロの冒険者として扱います、ご安心下さい」


「そうですか? 助かりました」


「暫くはこの街に滞在ですか?」


「多分、居ると思います」


「それではこの街に居る間はラビィを専属受付にしますので何なりとお申しつけ下さい」


「有難うございます」



「早速ですがカードの更新をしますのでもう一度カードを貸して下さい」


「はい」



更新されたカードには



NAME:ソード


JOB:剣聖


RANK:SS


MONEY:0


と記載されていた。


随分、寂しくなった感じがするが仕方ない。


「お間違いは無いでしょうか?」


「はい、間違いないです」




「ソード様、このギルドには塩漬けの依頼も結構あります、今度相談させて下さい」


「解りました」





「やばいよ俺、剣聖ソードを馬鹿にしちゃったよ」


「僕ちゃんって言った時に気が付くべきだったんだ」


「あああたしなんて、残念とか言っちゃったよ」



気にしなくて良いって言ったのに。


僕ちゃんは笑顔でギルドを後にした。



宿屋を探す途中で串焼きを買う事にした。


ポケットの中のお金を見ると...


可笑しいな? 僕が盗賊を倒して手にしたお金には金貨は1枚しか無かった。


なのに、何故か金が2枚入っている。


きっと勘違いだろう?


だけど、どんなに考えても金貨1枚増えている理由が解らなかった。

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