第26話 2年B組リーダー、カガリ戦①

 相手の旗を取る。色々考えた結果、これが僕たちの目標とする最終的な勝利条件だと思った。そして対戦時間となり試合が始まった。


 僕たちはエリアの中間とその奥に、土魔法で即席の障害物の壁を作り拠点を作った。


 とりあえず目の前に2~3人が、しゃがんで隠れられるくらいの壁があればいい。


 壁を作る部隊を守るように援護し、壁が完成したらその部隊は少し休憩してもらい、別部隊がさらに壁を補強した。


 相手も拠点を作らせまいと魔法攻撃してくる。


 そしてカガリさんも呼応するように上空からの風魔法で、こちらの人数を減らそうとしてきた。


 だがこちらは上空を牽制けんせいしながら相手の攻撃に対処ができる。


 シャルリエーテ様は目くらましとばかりに光魔法で攻撃する。牽制だった。あたるとは思っていない。


 タイミングをずらして思い出したように攻撃する。一般論でいえば空を飛びながらの魔法攻撃は制御が難しい。カガリさんもずっと上空を飛び続け、攻撃してこれるほど魔力が続くわけでもないのではないかと予測した。


 こちらとしてはカガリさんの魔力量と集中力を少しでも削いでおきたい。


 こちらには壁があり向こうには壁はない。


 相手がれてとびだしてきたところを確実に倒していく。


 作成した壁のおかげで空と地上からの攻撃も抑えられるため、それほど被害はでていない。じりじりと相手をしていた。


 今までのB組はカガリさんが空から風魔法で攻撃して、相手の人数を減らして有利な状況にもっていっていた。


 それが今回は相手に人数を減らされているのだ。そして着実に僕たちはカガリさんたちの旗に近づいている。戦況は僕たちに有利に進んでいた。



 ☆B組カガリ視点☆


 私たち2年B組は一発逆転を狙うなら、何か策をうたなければならい状況になっていた。


 まずC組のオリタルトたちに中間地点に拠点を作られたのがまずかった。


 最初は両手にくくり付けて持っていた即席の板だった。


 木の盾かと思っていたのだ。あんなもので私たちの魔法攻撃を防げるものかと油断していた。


 すると相手は土魔法で土台を作り、そこに盾かと思っていた板を突き立てさらに土魔法を雑にぶつけて、あっという間に補強して壁をつくりあげて拠点としてしまったのだ。


 このままではじり貧だと判断した私は、C組の旗がある拠点まで飛んでいき、旗を奪うという作戦を思いついた。


 正直、私の飛行についてこれるものが2人、いや1人でもいてくれればと思ったが、それは無理な相談だった。


 仕方なく私は単独で相手の拠点に向かうことを決めた。


 このままでは負けが確定してしまう。焦燥しょうそうられた私は皆を集め、相手の拠点に単独で向かい旗を奪ってくると話した。


 リーダーのオリタルトを全員で急襲きゅうしゅうし倒すという手もあったのだが、肝心のオリタルトが見つからなかったのだ。


 みんな悔しいながらも分かりましたと納得してくれた。


「まだ勝負は終わってないですよね? それならその作戦の成功率を少しでもあげましょう。カガリ様が敵陣に乗り込むときに俺たちは、全員で突進し攻撃を仕掛けます。その間に旗を奪ってきてください! 俺たちが時間を稼ぎ敵をひきつけます!」


「分かった。だがグラシ、お前は申し訳ないが1人で待機して旗を守ってくれ。敵に倒されて人数も少ないしな」


「……分かりました」


「では……他の者は全員突撃だ!」


「オオオオオオッ――!」


皆、一丸となってC組に向かっていった。


「カガリ様を拠点に行かせるんだ! 勝利を信じて!」


 私は皆の信頼に応えるため、飛行速度をあげてC組の本陣に向かった。旗を奪う逆転の目を信じて。



 ☆オリタルト視点☆


 B組の陣地の敵のほとんどが、僕たちの陣に雄たけびをあげて向かう姿をみて、僕とカガリさんのファン36号のメリアさんは速やかに移動を終える。


「さぁ、ここからは時間との戦いだ。カガリさんと僕たちのどちらが相手の旗を奪うのが早いかどうかの勝負だ。いいね?」


「はい! もちろんです!」


緊張気味のメリアさんを引き連れて敵陣の旗を目指す。


B組のカガリさんたちは自陣に1人だけ残して他は全員突撃したようだった。

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