【完結済】無能呼ばわりされてパーティーを追放された俺だが、《神の力》解放により、《無敵の大魔導師》になっちゃいました。

第127話 躱しざま

　ようやく俺は飛行術をものにした。

　トリストを見ると、苦々しい顔をしている。

　俺はトリストと空中で対峙しながら、言ったのだった。

「これでもう何があっても、逃がさないぜ」

　するとトリストがすかさず言った。

「ふん、逃げる気などない。ここで決着を付けてやろう」

　トリストは言うや、凄まじい勢いで突撃を仕掛けてきた。

　俺はまだ飛行術になれていないこともあり、少し慌てた。

　だが俺が心の中で右に移動したいと思うと、身体はすぐに反応した。

　次の瞬間、俺はトリストの突進を見事に右に避けて躱していたのだった。

「なるほどね。こうやればいいのか」

　トリストは空中でピタッと止まると、おもむろに振り向いた。

「わたしは君の練習台ではないんだがね」

「悪いね。でもそうさせてもらうよ」

「不愉快だよ。君という存在は、ただそこにいるというだけで不快だ」

「そう言うなよ。それは俺も同じなんだからさ。お互い様って奴さ」

　俺はそう言うと、ニヤッと笑った。

　トリストはさも不快そうに顔を歪めた。

　そして怒りの形相もかくやと、再び突進を仕掛けてきたのだった。

　だが今度は躱すと同時に、攻撃を仕掛けてみた。

　俺はひらりと闘牛士のように身をよじってトリストの突進を受け流すや、その後ろ姿に向かって雷撃戦槍を放った。

「ボルテックスピアー！」

　雷光が煌めき、トリストの身体が轟音に包まれる。

　ようやく攻撃が当った。

　躱しざまに攻撃したことと、なによりトリストの身体がさらなる巨大化をしたことで、ついに当ったのだ。

　見ると、トリストの身体は雷撃によって爆発し、燃え上がっている。

「ぐぅっ！」

　振り向いたトリストの顔は、炎に包まれ苦悶の表情だ。

　俺はすかさず追撃の雷帝爆撃を放った。

「ケルンドグス！」

　渾身の雷帝爆撃がトリストを襲う。

　巨大な爆発音と共に、トリストの身体は炎に包まれた。

「ぐおぉーーー！」

　よし！

「ケルンドグス十連!!」

　俺はすかさず圧倒的な火力でもって、トリストを攻め立てた。

　巨体が次々に轟音を立てて爆発する。

　凄まじい炎が巻き起こり、渦を巻いている。

「さらに十連だ！」

　ボンッ！ボンッ！と鈍い破裂音が空中に響き渡る。

　焔が高く高く、天に向かって巻き上がる。

　するとついにトリストは、炎が尾を引くようにゆっくりと落下していったのであった。