【旧】Blue 〜あの海をまた、ふたりで〜
マクスウェルの仔猫
第1話 夏休みのはじめ、バスに乗って
(ううう……夏休みなのに、追い出されるなんて。二日。たった二日間!ゴロゴロしてただけじゃん。ひどいー……バスの中涼しくて気持ちー……このまま乗ってたい……。私の夏は、こうやってはかなく過ぎてくんだね……)
(だいたい。『明里、宿題は?今年は、八月迄に半分終わらせなかったら来月のお小遣い無し!いつもギリギリなんだから!』とか鬼だぁ~!お小遣いなかったら、コツコツ貯めた貯金から下ろさなきゃ!鬼ぃ……あ!高月君?!)
(バス停の一番後ろに並んでる!やった!やったぁ!高月君に夏休みも会えるなんて嬉しい!はい!イメージトレーニング!これ大事だよっ!)
★
『あれ、
『あ、高月君だ!こんにちわ!お出かけなの?』
『うん。図書館で勉強しようかと思って』
『そうなんだ!私も図書館で宿題しようかなって。宿題すませた方が夏休み楽しいよね』
『さすがだね。じゃあ、よかったら一緒に勉強しない?』
『ホントに?!やったぁ!学年上位の高月君と勉強したら絶対はかどるし、楽しそう!よかったぁ〜』
『僕も中濱さんと会えてよかった、嬉しいよ(にこっ)』
『えっ……?それってどういう……(ポッ)』
★
(そしてそしてだよ?高月君は私の質問に顔を赤らめて……盛りすぎ?席が隣の時に好きになって、片想いしてるだけだしにゃあ……むむむ!私、負けへんでぇ!)
「……ん」
(でもでもさ。夢見たっていくない?マンガじゃないけど、ちょっと、いやかなりカッコいい片想い男子にさ?)
「……中濱さん?」
「あ!高月君こんにちわ!って、あれ?また最初に戻っちゃうの?やり直…………ふあ?!た、高つ、ケホ!」
「こんにちは……だ、大丈夫?これ飲む?」
「ケホ!ケホケホ!あ、ありが……(ごくごくごくごく)、ひはー。ごめんね、ケホ……っていうか!いつからそこにいたの?!」
「バスに乗ったら後ろに中濱さんが見えたから、挨拶をしたんだけど……ずっと独り言言ってて気付かれなくて」
「そ、そうなんだごめんね!寝てたかも……寝言かも!」
「う、うん、理解した。……隣、座ってもいいかな?」
「は、ハイどうぞ!喜んで!」
(めちゃめちゃびっくりしたぁ……でも、嬉しいな。久しぶりに隣同士、それに学校より距離が近いよ、ふひひ)
「ペットボトルのお茶、飲み終わった?捨てとくよ?慌てて差し出しちゃったから……ごめんね、飲みかけで」
「(ぶふぅ?!)嘘?!こっちこそゴメンなさい!わ、私が捨てとくからだいじょぶ!だいじょぶ!」
(ぶふぅ!とか言っちゃった!恥ずかしい!ミニタオルミニタオル!で、でもでも、高月君と間接、キ、ス。きゃー!きゃー!ペットボトルは、家宝にするんだぁ!)
「ありがとう。それで、ええと、中濱さんも図書館に行くんだっけ?」
「そうだよ!も、って事は高月君も図書館に行くの?」
「うん。よかったら、一緒に勉強する?」
「わ!ホントに?絶対はかどるし、頭の良い高月君と一緒に勉強できて嬉しい……」
(……あれ?私、図書館に行くって言ったっけ……?)
「……………………!!!ま、まさかあああぁぁぁ?!」
「あ……うん。途中まで全部聞こえちゃってた、かな」
「きゃー!!ウソだよね?!忘れて!!忘れてよぉ!これでお願いします!揺さぶるね?ひああー!!」
「うわ、わ、わ……揺さ、ぶっても、忘れない、からー」
「わかんないじゃん!わかんないじゃん!」
【ピンポーン。バスの車内では、お静かに願います】
「「は、はい!すみませんっ!」」
「……あ。うう……揺さぶったら気分が……」
「ぼ、僕も。車に酔うって、こんな感じなのかなぁ……」
「ご、ごめんなさい……」
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