第17話 クエスト受注


 さっきの受付嬢の話では、ルーキーのクエストであれば一人でもこなせる難易度のようなので、当面はパーティを組まずに一人で冒険者をやっていくことに決めた。

 パーティを組むと報酬もパーティで分け合なくてはいけないみたいだし、小銭を稼ぐという面では一人の方が効率が良い。


 もちろん将来的に見るのであれば、パーティを組んでクエストを多くこなし、冒険者ランクを上げて高報酬のクエストを受けるのが手っ取り早いのだが……。

 ある程度のお金が貯まり次第レアルザッドを出て、未知の有毒植物を探しに行く予定の俺は、パーティを組んでしまうと色々と面倒くさい。

 

 地道にコツコツとクエストをこなしていき、地に足着けて今の俺の実力も推し量って行こうと思う。

 そんなことを考えながら列の最後尾に並び、自分の番が回ってくるのを待つ。


「いらっしゃいませ。こちらはクエスト受注用の受付ですが大丈夫でしょうか?」

「ああ。クエストを受注したい」


 マニュアルがキッチリと定められているのか、別人なのだが先ほどの受付嬢と喋っているような感覚。

 気性が荒い冒険者と円滑に取引するための、顔の整っている受付嬢による愛想の良い接客なんだろうな。


「それでは冒険者カードを拝見させて頂いてもよろしいでしょうか?」


 俺は先ほど大事に鞄へとしまった冒険者カードを取り出し、受付嬢に手渡した。


「えーっと、クリス様ですね。冒険者ランクはルーキーで依頼達成はなし。初めてのクエスト受注でしょうか?」

「ああ。だが、説明は全て受けたから大丈夫だ」

「それでは詳しい説明は省かせて頂きます。早速なのですが、クリス様が受けることの出来るクエストの紹介をさせて頂きたいのですが、希望のクエストの種類はございますでしょうか?」

「魔物の討伐でお願いしたい」

「かしこまりました。今受けることのできる討伐クエストは、西の田園のゴブリン退治。南西の林のゴブリン退治。それから北西の廃道のゴブリン退治が受けられます」

「全てゴブリン退治なのか?」

「そうですね。ルーキーで受けられる討伐クエストは、ゴブリンとコボルトの二種類のみです。今はコボルトの討伐依頼がないので、ゴブリンだけとなってますね。ゴブリン退治が嫌なようでしたら、初めてのクエストですし採取クエストが良いと思いますがいかがでしょうか?」


 やはりルーキーでは、最下級の魔物の討伐しか受注できないのか。

 ペイシャの森でオークを討伐出来た俺からすれば、ゴブリンでは実力を測る物差しにならないのだが、こればかりは仕方がない。

 採取クエストも気になりはするが、まずは討伐クエストからやりたいな。


「ゴブリン退治で大丈夫だ。北西の廃道のゴブリン退治で頼む」

「分かりました。それでは廃道のゴブリン退治をお願いします。五匹を狩って頂き、報酬は銀貨一枚となります。依頼は五匹となっていますが討伐数に制限はなく、一匹追加で狩るごとに銅貨二枚をお渡し致します」

「数はどうやって判別するんだ?」

「討伐数は左耳の数で判別しますので、倒した後は忘れずに左耳を切って持ってきてください」

「分かった」

「それでは冒険者カードをお返し致します。ご武運をお祈りしております」


 こうして俺は冒険者となり、初めてのクエストを受注した。

 受付嬢の話によれば、ゴブリン一匹に討伐するごとに銅貨二枚がもらえるようだな。


 どれだけの数がいてどれだけの数を討伐できるのかは、まだオークしか魔物を討伐したことのない俺には見当もつかないが、最低でも十匹は狩らないとお金は貯まっていかない。

 ルーキークラスにいる限りは、かなりお金にはシビアにいかないと食べていくことすらかなり厳しくなる。


 盗品を売って得た金があるといえど、なるべく節約して生活することを心に決め、今回の目標を十匹に定めて自分に気合いを入れてから、俺は冒険者ギルドを後にした。

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