第116話 氷の魔人アイスン
ユウキ、ジュリア、ニーチェがそれぞれサブ職業について、残すはリーネだけとなった。サブ職業に就く為には、『〇〇の証』が必要になる。どこにあるかわからないがはぐれ魔人を倒す事で手に入るかもしれないと思ったユウキは世界各地にいるはぐれ魔人を倒す事にした。
勇者であるカツヤが天空城でドラゴンを仲間にして戻ってくる間に4体のはぐれ魔人を倒す事を決めたユウキ達は、一番弱い氷の魔人アイスンの元へ向かっていた。
氷の魔人アイスンは東の大陸の更に東の海の上の島の洞窟の中にいる。ユウキ達は洞窟を進んで行った。
「ユウキ?ここの魔物はどんなのが出るの?」
「ああ、この洞窟内の魔物は、アイスロック、アイスバード、アイススライムという感じで氷属性の魔物しか出ないんだ。」
「それってもしかしてここの魔物も水と氷属性の魔法が無効で炎属性の魔法を吸収するの?」
「いや、洞窟内の魔物は見た目通り炎属性が弱点になる。」
(そうなんだよ。洞窟の魔物が火属性が弱点だからボスもって普通思うよな。なのにボスは火属性攻撃は吸収ってどんなムリゲーだよ!)
「そうなんですね。私達は多属性の魔法が使えるから大丈夫ですが、他の冒険者なら、洞窟内を進むのに火属性で固めるでしょうし、そうするとボスで苦労しそうですね。」
「ああ。リーネの言う通りだ。まあ俺達にはあまり意味はないけどな。」
「まあボスまでは火属性が有効なんだろ?アタシの火魔法で一網打尽にしてやるよ。サブ職業に就いたばかりだからな。たくさん倒して早くレベルを上げたいぜ。」
「そうだな。ニーチェのレベル上げもあるし魔物はなるべく倒しながら進むか。火属性魔法を使えばほとんど瞬殺だと思う。MPが減っても回復アイテムも持ってるしMPなんか気にせず進もうか。」
ユウキ達は魔物を見つけると、見つけた傍から魔法を放って片っ端から魔物を倒して行った。ユウキのメガファイア。ジュリアの灼熱地獄、ニーチェの火の極意と弱点属性である火魔法を使えば洞窟内の魔物は魔法1発で死んでいった。リーネは火属性の攻撃手段を持っていなかったので、他の3人が魔法を使って魔物を倒して行く。
「全然手ごたえがないわね。」
「しょうがないさ。この洞窟の魔物と比べると俺達が強すぎるんだ。ボスだってダークドラゴンより弱いんだぞ?」
「それもそうね。」
「ユウキ様。ですが、闇の宝玉を使ってる可能性もあるんですよね?」
「まあそれはそうだけど・・・。」
(全員ステータスは勇者カンストよりも多いんだからゲームで出てくる魔物はもはや脅威ですらないよな。ゲームに出てこない魔物が出て初めて脅威って思うぐらいなんだから知ってるダンジョンなら危険もない・・・か。ならサクッと攻略していくのがいいよな。もたもたしてるとカツヤがもどってくるだろうし。)
「まあリーネの言う事もわかるが、今の俺達なら問題ないだろ。」
「そうだぞリーネ。アタシがサクッと倒してやるよ。」
(まあフラグっぽい可能性もあるけど・・・。)
少しの不安を持ったまま、ユウキ達は洞窟をドンドン進み、最奥にいる氷の魔人アイスンまで辿り着いた。
最奥には、豪華な椅子がありその椅子には、全身青色の人物が座っていた。筋肉質な身体に髪は無く、頭には角が2本生えていた。そして指には赤色の指輪が光っていた。
「こんな所に客とは珍しいな。」
「お前が氷の魔人アイスンか?」
「そうだ。俺様に何か用か?」
(あれ?これって戦闘にならないパターンもあるのか?ゲームじゃ問答無用で戦闘になったんだけど・・・)
「私達はあなたを倒しに来たのよ。」
「俺様を?はんっ!おもしろいジョーダンだ。俺様は氷の魔人アイスン様だ。いいだろう。ちょうど退屈していた所だ。暇つぶしに遊んでやろう。」
(よかった。普通に戦闘になりそうだな。何か用か?って言われても特に用もなくただ倒しにきただけだしな。)
アイスンが椅子から立ち、戦闘態勢に入った。両手を前に出し、手から無数の氷が飛び出してきた。
「!?いきなり攻撃してくるのかよ!?」
ユウキは極光の盾を出しアイスンの攻撃を防ぐ。
「ジュリア!リーネ!ニーチェ。魔法は火と水と氷以外だ。行くぞ。」
アイスンの攻撃を防いだユウキは、今度はこちらの番だ。と言わんばかりに攻撃を仕掛けた。
ユウキが剣を構えて接近戦を挑み、ジュリア、リーネ、ニーチェの3人は魔法で攻撃した。
ダークドラゴンよりも弱い氷の魔人アイスン。そして、ユウキ達のステータスはカンストした勇者のステータスよりも高い。更にアイスンには火属性の魔法はNGという事もわかっているので、ユウキ達はガンガン、アイスンを攻撃していく。
そんな攻撃にアイスンは防戦一方になる。
「なぜだ!?なぜ火魔法を使って来ない!こんな事は初めてだ!」アイスンは叫ぶがユウキ達は構わず攻撃を続ける。
止め!とユウキがかみなり魔法をアイスンに放つ。かみなり魔法の直撃を受けたアイスンは叫びながら消えて行った。後には指に付けていた赤い指輪だけが残ったのだった。
「楽勝だったわね。」
「ああ。」
「ユウキ様?証は手に入りませんでしたね。」
「そうだな・・・もしかしたら指輪を4つ集めたら女神様が証をくれるのかもな。」
(こんな感じでフラグを立てておけば、あの女神ならきっとそのように動くだろ。)
無事に氷の魔人アイスンを倒したユウキ達は、次のはぐれ魔人の討伐へと向かうのだった。
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