第27話 砂漠を越えてパルテ神殿へ・・・

砂漠の前に一夜を過ごしたユウキ達は準備を整えて砂漠に向かっていた。


(4人いると夜営もだいぶマシだったな。2人ずつに分かれたから睡眠もとれたし、今日砂漠を抜けてパルテ神殿に着ければいいけど・・・)


砂漠を進んでいくと、普段よりも進みが遅いのがわかる。砂に足を取られて通常よりもスピードが下がっていたのだ。しかも普段以上に体力も消費していた。


見渡す限り砂漠なので、モンスターが近づいてくるのはすぐにわかったので、見つけ次第ユウキがアイスの魔法を放ってモンスターを倒していた。1発で倒せないモンスターはカツヤとジュリアが剣で倒す。


ユウキは、ただでさえ砂漠で暑いのにファイアの魔法を使う気になれず、ずっとアイスの魔法を使っていた。

(現実ではこの環境も大きな問題だよな。砂漠でファイアとか使ったら暑さで死ねる気がする。ゲームの時は気にせず魔法使ってたけどここじゃその辺も気にしないとな・・・)


モンスターを倒しながらひたすら東に進んでいると・・・


「砂漠最悪だよ~。動きづらいし暑いし何もないし・・・」

我慢の限界だったのかアイが音を上げた。

「アイの言う事も最もだ。だがカツヤを見ろよ。お前よりもかなり動きづらそうで暑そうなのに頑張ってるぞ。」


(カツヤすごいな。その鎧着て砂漠を歩くとか自殺志望者か!って思ってしまうよ。)

「いや。俺ももう無理だ。」

カツヤはそう言って兜を脱いだ。

兜を脱いだカツヤは汗だくだった。


(そろそろオアシスが見えてもいいぐらいだと思うんだが・・)

ユウキがまわりを見渡してオアシスを探す。注意深く見渡すとそれらしき所を発見した。


「カツヤ、アイ、ジュリアあっちにオアシスがありそうだぞ!」

「「「オアシス!!」」」

3人はユウキに指さされた方を見る。見た瞬間に3人はそれがオアシスであり、水があると思い即座に駆けていった。


「おい!置いていくなよ。」

ユウキも3人に続いて走って行く。オアシスに到着したユウキは蜃気楼じゃなかったことに安堵した。

(良かった本物で。現実だったら蜃気楼だった・・・とかもありえるかなって思ったけどそんな事はなかったな。)


ユウキ達は湖で身体を冷やした。もちろんアイとジュリアは男性メンバーから見えない場所で。オアシスで休憩しながらこれからの打合せを行った。


「さて、砂漠ってあとどれぐらい続くんだ?」

「わからないよ。今日越えれないならここで休む?」

「半分ぐらいじゃないか?今日中には抜けれる気がするけど・・・」

「ユウキさんの言う通りちょうど半分ぐらいですね。私は何度かベルの街に行った事がありますので。まあその時は馬車でしたが・・・」

「馬車か~。俺達も馬車で移動すればよかったな~」

「そんなお金ないでしょ!!」


(馬車で砂漠って走れるんだな。それよりも砂漠がこんなきついとは思わなかったな。1人なら空飛んで抜けるんだけど・・・)


オアシスで休憩したユウキ達は今日中に砂漠を越える為に暑い中、足がとられて動きづらい中、砂漠を東へ東へ歩いていった。カツヤは暑さで兜と鎧を脱いでいた。装備の下は短パンとTシャツだった。

(短パンとTシャツの勇者って・・・まああの装備でこの砂漠を歩くのが無理なのはわかるけど・・・)


モンスターは砂漠などお構いなしに近づいてくる。砂漠で現れるモンスターはサソリ型のキラースコーピオンやそのまんまラクダの野生ラクダ、サンドウォーム、兵隊アリ、サンドウルフなどだ。どれも砂漠なのに器用に進んでこちらに向かってくる。


障害物が何もないため、気づいた瞬間にユウキのアイスの魔法で対処していた。

(MPを気にしないでいいならここもボーナスステージと一緒だな。)


ゲームと違って、モンスターがユウキ達の元にくるまでに魔法なら3回は当てる事ができた。これがゲームなら1回こちらが魔法を使うと次はモンスターのターンになり、モンスターの攻撃を受けていただろう。だが、現実ではターン制などありえない。こちらの攻撃を待つ必要もないし、向こうの攻撃が終わるのを待つ必要もなかった。


ユウキの負担が大きかったが、ユウキも暑さで早く砂漠は抜けたかったので、ポルートで購入していたマジックポーションを使ってMPを回復しながらモンスターを倒して行った。


アイスの魔法を使うと周囲の温度が下がるのでカツヤ達にも喜ばれたので多用していた。という理由もあった。もちろんユウキも温度が下がるのは大歓迎だったので言われるまま、アイスの魔法を使いまくっていた。


(まあ魔法の指輪のお陰で、MPは切れる心配がないからずっと使ってられるんだけどカツヤ達には指輪の事話してないから、もったいないけどマジックポーションを使ってるんだけどね。)


ようやく砂漠を抜けて、パルテ神殿が見えてきた。あたりは暗くなっていた。

「ようやく砂漠を抜けたな。あっちに見えるのがパルテ神殿だな。早く行こうぜ」


カツヤが先頭を切ってパルテ神殿に向かって行く。神殿に着くと門番が入口の前に立っていた。

「カツヤ。暗くなったからパルテ神殿に入れないんじゃない?」

「まあ聞いてみようぜ。すいません。俺達パルテ神殿に入りたいんですが?」


「すまない。ただいまパルテ神殿は立ち入り禁止になっている。いつ解除されるかわからないがしばらくは入れない。」

「えっ!?入れないんですか?」

「ああ。立ち入り禁止が解除されるまでは誰も入る事は出来ない。」


パルテ神殿に入れると思ったユウキ達は入り口で門番に入る事を止められるのだった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る