人が人でなかった時代に思いを馳せる

河童、ノツゴというキーワードと共に、物語が綴られていく。
赤子の関わる民間伝承というのはそれなりにあるが、そもそもかつては7つまでの子は「人」ではなかったのだという話もある。
河童や山童になぜ「童」とつくのか、ノツゴのように子供由来とされる怪異がなぜあるのか。
怪奇的なことを描いた物語ではあるが、その背景を考えると物悲しいものがある。あれは何を思って赤子を抱いていたのだろう、何を思って返したのだろう。
悪態をつく私と泣く弟に気付き、もしかしたら…と少し考えた。実際の答えなど明確ではなく、読み手の夢想に過ぎないが。
ぜひとも読んで、その辺りのことも考えてみてほしい。

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