"物"に対する想いが形づくる物語

物語の大筋は、少し内気な少女が、学園の有名人に気に入られるという王道ものですが、そこに付喪神という民間信仰を取り入れたところが、本作のミソです。

主人公である雪乃は、"物"に宿る付喪神を見ることができることで、過去に辛い思いをしていますが、見えるからこそ"物"を大切したいという想いがあります。
その葛藤と、"物"への想いが克明に描かれているからこそ、そこに物語が生まれます。

第2話では、『"物"に対する人間の認識によっても、付喪神の状態が変化する』ことが示唆されています。
『"物"に対する人間の認識』と『付喪神』が密接に関係し合うということは、それらを通じて、登場人物の人間関係や心象に影響を及ぼす可能性があるということです。

それは既に、第一章以降の、一条くんの寄木細工の話に現れています。
『寄木細工に込められた千代さんの想い』と、それに対する『一条くんの想い』が、第二章の物語の核となっています。

レビュー時点の最新話(第16話)では、まだ付喪神の登場は少ないですが、今後、雪乃の"見える力"がキーとなって物語が進むことは間違いないので、今後の展開に期待が高まります。

"物"に込められた想い、それにまつわる人間関係、そして、雪乃の"見える力"。
それらがどのように絡み合い、どのような人間関係が生まれ、どのような心象が描かれるのか、注目していきたい一作です。

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