Coffee & Cream

「ねぇ、サユリ! 聞いて聞いて〜!」


「何よ朝っぱらから騒々しいわね」


「私、今日、大発見しちゃった!」


「太った郵便配達員でも見つけたの?」


「そんなんじゃないわよ! 実は私ね、こう見えて朝はコーヒー党なんだけどね……」


「意外と言えばいいのか、それくらいアリでしょ、と言うか微妙なラインね」


「もう、話の腰を折らないで! それでコーヒーを入れるとき、先にカップにフレッシュを入れてみたんだよ」


「普通はコーヒーを入れてからよね」


「そう! でもコーヒーを後に入れたらかき混ぜなくてもよくなったの! どうせ分量はいつも同じだし、スプーンを使わないから洗う手間も減らせたんだよ!」


「なかなかイノベーティブじゃない。エコでもあるわね」


「へっへ〜、逆転の発想というやつですな〜」


「逆転の発想で有名なのは鏡文字の書き方ね」


「鏡文字? あの左右逆向きの文字のこと?」


「そう。あれを早く書きたい時にどうしたらいいか……、実はおでこに紙をつけて、その紙に文字を書くようにすると鏡文字が素早く描けるのよ」


「え⁉︎ ほんと⁉︎」


「今度試してみなさい。あと、あんたのと似たのではカップスープを作るとき、先にカップにお湯を満たして、かき混ぜながら粉の方を後で注いでいくと、底にスープの素が溶け残らずに綺麗に出来るわよ」


「えぇ〜! そんな凄い! まさに逆転の発想だよ! 今度絶対試してみる〜」


「まぁ、ただの生活の知恵だけどね」


「サユリもコーヒー入れるとき、さっきの発明試してみてね♪」


「ゴメンなさい。私、コーヒーはいつもブラックなのよ」


「サユリ〜〜!」

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