第222話 休日のお出かけ(6)
若菜さんに案内された場所の棚に、私のサイズのブラジャーが並んでいた。
どうやら、サイズ毎に棚が並んでいる様だ。
「神城さんは、E55を選んでね。
そうそう。これとこれがオススメかな」
と言って、オススメのブラジャーを手渡された。
何処とからとなく、
手渡された物は、フルカップと3/4カップの物で、それ程派手では無いが、可愛らしいデザインのブラジャーだった。
目の前に持ってきて見ると大きい。
これが自分のサイズだと思うと、恥ずかしくなった。
「じゃあ、誰からフィッティングをする?」
と若菜さんが言うと
「私から良いですか」
と土田さんが手を上げた。
「じゃあ、私が2番手もらい」
と鳥栖さんが言うと
「3番手」
と都竹さんが手を上げた。
「あ、出遅れた」
とブラジャーの棚を見てて反応が遅れた田中さんが声を上げて、小さな笑いを誘った。
土田さんが更衣室からフィッティングを終えて出てくると、私のサイズより2サイズ上のGカップの棚に向かった。
鳥栖さんは、私と同じ棚に。
田中さんと都竹さんは、1サイズ下の棚に向かった。
各人が、自分のサイズの棚に向かう度に呻き声と舌打ちが聞こえた。
特に土田さんの時は、崩れ落ちる音も混ざっていたが、私達は一切気にしなかった。
私は、若菜さんオススメの物を3点ずつとナイトブラを3点選び、今まで使っていた物と同じブランドのスポーツブラを3点購入した。
バストサポーターの制作を依頼したのに、スポーツブラを買い替えるのは、実戦や戦闘訓練に使うには心もとないが、日常的な訓練時や教導時は、普通のスポーツブラでも問題が無いからだ。
あと、寝返りで胸が揺れた時に、胸の痛みで起きた事が何回かあった事を若菜さんに相談したら、ナイトブラを勧められたので購入した。
ちなみに、その事を聞いていた土田さんは
「あー、急に大きくなるとあるね」
と共感を示し
「うんうん。分かる」
と鳥栖さんも理解を示した。
田中さんと都竹さんは、そういう経験は無いとの事だった。
棚の向こう側から、
私を含め、皆サイズアップしていたので、日常用とスポーツブラを買っていた。
土田さんは服も見ていたが、お財布とにらめっこして諦めていた。
お店の奥の会計カウンターで、店長の若菜さんと雑談をしながら会計をする私達を、少し離れた棚の物陰から嫉妬にまみれた視線を送る一団が居るが、敢えて触れる事もせずお店を出た。
少し時間が早いが、驚安の殿堂の側に在ったファミレスに入りお昼にする。
11時30分を少し過ぎた時間だったので、直ぐに座る事が出来た。
昼食を取りながら、この後の予定を話し合う。
なにせ、みんな予定外の出費をしているから、あまりお金は掛けたくない。
鳥栖さんは、カラオケにも行きたかった様だが、次回に持越しになった。
土田さんがスマホで近辺を調べたら、近くに史跡があると言う。
驚安の殿堂も見たいと言う事で、お店見てから近くの史跡を散歩して帰る事になった。
という訳で、驚安の殿堂を見て回るのだが、やっぱりあれこれ欲しくなる様で、買うかどうか色々と悩んでいる様子を見守った。
私は、特に欲しい物も無いので、こういうものがあるのか程度で、購買意欲はわかなかった。
それでも、結構な時間を掛けて店内を巡り、近くの史跡を散歩してから寮に帰る。
史跡?
なんか、ちょっとした遺構があって、説明を書いた看板があるだけだった。
16時位に訓練校に戻って来れた。
寮の玄関で解散して部屋に戻り、荷物を片付ける。
新しく買ったブラジャーを洗う準備をしていると、丁度良い時間になったので玄関に降りると4人共待っていた。
この後は、食堂で夕食取り、入浴、夜の訓練と普段通りだ。
寝る前になって
「今日は休んだ事になるのだろうか?」
と疑問に思ったが
「気分転換にはなった?はず」
と言う事で納得する事にした。
そして、思い出そうとするが思い出せない事があった。
それは、男の頃1人でどの様に休日を過ごしていたか、全く思い出せない。
章と零士と過ごした記憶はあるのにな。
不思議に思いながらも、思い出せないと言う事は、あまり記憶に残る行為をしていなかったという事だろう。
それとも、今の方が充実しているから思い出せないのかも知れない。
そんな事を考えながら、眠りについた。
翌日、能力訓練の時間に田中さん達の今後の訓練計画を決めた。
平日は、朝の魔力制御訓練、訓練校での授業、能力・戦闘訓練、夜の
土曜日は、朝の魔力制御訓練、午前は隊員による指導、午後は南雲さんによる高圧縮学習装置を用いた訓練、夜の
日曜は、月1回は皆でお出かけをしようと決まり、残りの日は自由参加の訓練日に決まった。
当初、日曜日は休養日にするつもりだったが、田中さん達からは「訓練もやりたいし、お出かけもしたい」と反発もあり、なかなか決まらなかった。
南雲さんが「月1のお出かけと自由参加の訓練日にしたらどうだ」と折衷案を提案したお陰で決まった。
それから大きな出来事は無く、平穏な日々が過ぎた。
小さな出来事としては、愛知方面隊の別部隊を叩きのめしたり、尾行している訓練生が新しい結界システムの餌食になり、尾行する者が居なくなったり、バストサポーターが完成したから受取に行った位で5月を終えた。
矢野さんから尾行していた訓練生共は、新しい結界システムの影響で様々なトラウマを植え付けられて、当面使い物にならんだろうと言っていた。
しかし、
私が聞いても、設置した
私と一緒に矢野さんの話しを聞いていた田中さん達も疑問に思った様だが、矢野さんが真剣な顔をして
「知らない方が身のため」
と言うので、それ以上聞く事を辞めた。
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