第35話 ドラゴンスレイヤー再来(3)




〜風馬side〜


俺は保存しておいた【支援スキル】を使用して、ドラゴンスレイヤー健太の主拠点に攻め入ったが、なぜかもう1人の姿がなかった。


多少警戒しつつも助けがこないなら、この機に一気に勝負を決めるだけだ。

敵は自分たちからは攻めてこないで、奥で3,000体以上が防御の布陣を敷いている。


待っていても時間の無駄なので、ナビルとジェイドがD級モンスターを引き連れて400体で敵のど真ん中へ攻撃を仕掛けた。敵のコボルト、ゴブリンなどの雑魚モンスターが次々と光と共に消えていく。

まるで手応えが無く相手にならない、ただただ数が多いのでそれだけが難点だ。


敵モンスターがどんどんと殺られるが健太は何もする事なくただ機会を伺っているようだった。それが逆に奇妙で俺は警戒を更に強めた………しかし20分経過しても何も起きず、あれだけいた敵の雑魚モンスターも残り数百体まで減っていた。


最後の決着をつけに俺たちも前進した。

その時だった、地上にいる涼真さんから別の同盟から攻撃を受けているとの連絡が入ったのだった。



〜涼真slde〜



僕も風馬くん達と共にドラゴンスレイヤーの拠点付近まで来ている。

そして、風馬くんがドラゴンスレイヤー健太の主拠点に入ってから20分程が経過した。相手は数が多いだけでコボルトやゴブリンが大量にいる雑魚部隊とのことだった。


ただ、何が起こるかわからないので、僕は地上で周りを警戒している。

そのとき、突如後方の僕の領地が新手に攻撃を受けて、占領され始めた。


それにより僕たちは退路を断たれた形となった。

僕の領地を奪った同盟は退路を断ったらそのままこっちへ進行してきた。



◯ 深緑の妖精の領地

△ 深緑の妖精の領地(保護期間中)

▶︎ ドラゴンスレイヤーの領地

◎ ドラゴンスレイヤー健太の主拠点

◆ 謎の新手

◇ 他プレイヤー領地

空白 高lv土地


      北

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◇ ◇◇◇◇◇ ◇  ◇◇

◇◇ ◇ ◇▶︎▶︎◇▶︎▶︎ ▶︎

◇ ◆◆▶︎▶︎ ▶︎▶︎  ▶︎ ▶︎

◆◆◯ △△△◎▶︎▶︎ ▶︎▶︎

◆ ◯△ △▶︎▶︎ ▶︎▶︎  ▶︎

◇◇◇ ◇◇▶︎ ◇◇▶︎ ◇

◇ ◇◇◇ ◇ ◇ ◇◇ ◇

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

      南



身構えて戦闘体制に入るが、僕を軽く牽制するとそのままスルーしてドラゴンスレイヤー健太の主拠点へ入っていった。

僕は自分だけで敵との戦闘になるかと緊張していたが、スルーされたことに呆気にとられていた。


「………こんなことをしている場合じゃない。風馬くんたちを助けに行かないと。」


僕自身も配下モンスターと共に健太の主拠点へ入ったら、さっきの敵対同盟(龍の雷槌)のプレイヤー3人が風馬くんたちを囲んで攻撃を仕掛けていた。


D級モンスターも混じっており、全部で1,000体以上もいる。

僕も加勢に入ったが龍の雷槌との戦闘となり風馬くんに張り付いているモンスターを排除しに行けないでいる。


◎ 風馬軍

◯ 涼真軍

◇ 健太軍

◆ 龍の雷槌


 ◇◇◇◇◇◇

 ◇◎◎◎◎◇


◆◆◎◎◎◎◆◆

◆◆◎◎◎◎◆◆

◆◆◆◆◆◆◆◆


◆◆◆

◯◯◆

◯◯◆


助けに入った僕の方が逆に相手のモンスターに囲まてヤバイ状況になってしまった。

風馬くんたちは敵の援軍が来たが優勢だった。僕の状況を風馬くんたちが気づき逆に助けに来てくれようとするが、相手モンスターが壁となり中々来れないでいた。


「ちょっと不味い展開なので、僕は一旦退却します。地上へ出れば、風馬くんの配下D級モンスターがいますので一旦退却です。」

「こっちは大丈夫なんで、そうして下さい。」


僕の言葉に風馬くんが短く返事してくれた。

退却しようと後退しはじめたとき僕の行く手を遮るように、裏手から更なる相手が現れた・・・・。


「やっと、これまでの恨みを晴らせる機会がきたね。浩二と裕介の仇だ覚悟しろー!!」


ドラゴンスレイヤーの淳史が600体ほどのモンスターを引き連れて現れたのだった。

四方八方を敵に挟まれて一気に配下モンスターが殺られていく。


「……どうする、考えろ……。」


ミレーネが必死になって僕を攻撃しているモンスターに弓攻撃を仕掛けているが、僕が全滅する前までに倒しきれないだろう・・・・。

風馬くんも僕を助けに全力で向かって来ているが、それも間に合いそうに無い……。


「よし。」深く深呼吸し覚悟を決めた。


「一点突破だ、風馬くんの方へ向けて一気に道を開く。行けーーーーー!!!」


ガクガクと震える手を握りしめ、精一杯大声をあげた。

だが、徐々に配下モンスターが減り・・・・、ついに相手モンスターの攻撃が僕の背中を切り裂いた。


「うっ。大丈夫だ、かすり傷程度だ。」


後ろを向き手に握った剣を構える。

2体のオークが槍を突いたり、払ったり連続攻撃を仕掛けてくる。


オークの攻撃をギリギリで受けるので精一杯だった。

そしてついに、オークの力を込めた一撃を受けきれず鉄の剣が吹き飛び、オークの槍が僕の右腕を肘の辺りを切り裂いた。


僕の右腕がボトリと地面に落ちた・・・。

激痛が走り、血が滴り落ちる。


どうにか意識を保てたが右腕を抑えて膝をついてしまった…。

配下のモンスターがオークと僕の間に入り僕を守るが、時間の問題だった……。

風馬くんたちはまだこっちにたどり着けそうにない。


「理沙すまない……。」


そうつぶやき死を覚悟し目を閉じた。

そのとき、凄まじい音と共にドラゴンスレイヤー淳史の本陣が攻撃を受けたと思ったら、すぐに目の前の多数の相手モンスターたちが光と共に一斉に消えていなくなった。


その先には、いつもの優しい理沙ではなく、怒りに満ちた妖精(理沙)の姿があった。理沙がドラゴンスレイヤー淳史を倒したことにより、その配下のモンスターもプレイヤーの死とともに消えていなくなったのだった。


「助かったのか…。」


すぐに理沙が駆け寄って来てくれる。


「涼真、大丈夫!! 腕が・・・・、きつく縛るから我慢して。」

「うぐぐぐぐぅぅ〜〜〜〜。」


僕は痛みと共に意識を失った。




~健太side~


「なぜここまでして倒せないんだ……。」


そう俺は賭けに勝った。

時間を稼いで救援要請を出していた『龍の雷槌』の3人がどうにか間に合い、敵を包囲してくれたのだ……が。目の前にいる獣人はとんでもなく強く、俺の配下モンスターを蹂躙していく。


「なんなんだコイツは…。」



救援に来てくれた『龍の雷槌』の3人も敵を囲んでいるのに逆に押され初めている。

更に淳史が援軍に来たのにだ……。


予想外といえば、敵にも援軍が来たことだ。


援軍の女(理沙:ねーちゃん)の出現で一気に敗戦に拍車がかかった。

その女は淳史を一気に倒すと、次に『龍の雷槌』のもう1人を葬り去った。

これにより、戦場全体に敗戦ムードが漂ってしまった。モンスターの士気にも影響が出た。


そして、もう2人の『龍の雷槌』も倒され、結局残り俺1人となってしまった。

目の前にいる獣人に対し恐怖を覚えたのか手がブルブルと震える。


「ちきしょー、これでもくらえー。」


それが俺の最後の言葉となった。




〜風馬side〜


長い1日が終わった。

今回、ドラゴンスレイヤーと龍の雷槌の2つの同盟を倒し、東側に領地が広がった。


ただ、涼真さんが右腕を切断され、危険な状況に追い込まれたのも事実である。涼真さんが事前にねーちゃんに救援を送っていて、それがギリギリ間に合ったので、事なきを得たけどヤバイ状況だった。


『龍の雷槌』の参戦により、流れで涼真さんも健太の主拠点戦闘へ参戦してしまったが、そもそも冷静に考えれば拠点で待機してもらってもよかった。


今後は更に慎重な行動が必要だな。

因みにこの新たな世界には、攻撃魔法が存在するが、残念なことに回復魔法はない……。



ただし、それに変わる回復薬があるのだ、それがポーションだ。

ポーションは万能らしく、四肢損傷も治すことができる。


医者の存在が必要なくなってしまうほどの代物だ。

ただし、異世界では高額であり、一般市民がこのポーションを手にできることなどめったに無い・・・。薬草を使って怪我の治療をするのが良いところだそうだ。

実は、俺がレベル5に上がりクラス(ナイト)についてから、ポーションを創造できるようになった。


ただし、ポーション1本の創造に5,000DPが必要となる。

更にポーション創造は、10日間のクールタイムが発生するため、最短で10日に1回しか行えない。


それだけの効果があるので、10日おきにポーションの確保は進めている。

そして、涼真さんはこのポーションによって四肢は復元され、命に別状は無い。


ポーションを使用すると光と共に右腕が生え神秘的に感じた。

異世界の技術って半端ねぇ〜〜。



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