第24話 ドラゴンスレイヤー(2)

〜隆史side(ドラゴンスレイヤー)〜



「あれ?何かおかしいな。相手の「待機」モンスターを倒したから・・・、あとは、土地lv1にいる雑魚モンスターが2体出現してきて、終わりのはずだよな?」


その時だった、後方の配下がやられた。

後ろを向くと獣人が1人でモンスターと戦っている。



「何処かに隠れていたのか?まあいい、1人なら冷静に囲んであの獣人を倒せ。」


獣人を配下と共に囲むように移動していたら、どんどんと見た事の無いモンスターがやってきた。


「やばい罠だ!逃げるぞ。」


急いで解放領域の外へ出ようとしたが、既に奥まで進んでおり、ここからでは逃げ出すのが難しい状況だった。

そこからはあっという間だった。

敵のモンスターは鉄シリーズの装備をしており、見たこともないヘビ、リザードマン、大型の熊などが多数おり、一方的にやられ始めた・・・。


「ちくしょー!」


俺はリザードマンに攻撃をするが、相手も必死で攻撃を受け止め反撃してくる。

しかし、見渡すと仲間は全滅し、俺1人になっていた。

すると、さっきまで戦っていたリザードマンが後ろへ下がり、逆に獣人がトコトコと歩いて俺の前までやって来た。


「最後にチャンスをやる。俺との一騎打ちで勝ったら、そのままここを出してやる。」

「そんな事信じられるか。どうせお前に勝ってもコイツら達が襲って来るんだろう!だったらコイツらを外に出せ。」


俺は強気な態度をとっているが、膝がガクガクと震えている。


「っち、うるせー野郎だな。おい、あっち奥の方へ離れてろ。領地から出るのは面倒になるから待機してろ。」


しばらくすると、敵のモンスターたちは遠くへ離れていった。


「これで勝負とするか。掛かってこいよ。」


獣人が俺を挑発する。

ここまでされたら、これ以上は何も言えない。

だが逆にこの獣人を倒せば逃げるチャンスが広がるということだ!

さっきのリザードマンより強いかもしれないが、たいして代わりないだろう。

だったら、俺にもチャンスばある!


「だった行くぞ。おりゃー。」


獣人に向かって細かな攻撃を繰り出す。

大振りはせずに細かな手数で攻めたてる。

ボクシングでいうとジャブで誘って隙を突いてストレートを決める算段だ。

しかし、俺にストレートを打つチャンスは現れなかった。


獣人は俺の細かな攻撃を難なく躱している。

俺の攻撃を数手見るとやる気を無くしたようだった。


「こんなもんか……もういいわ。」


獣人がそう言うといきなり目で追えない速度で俺に迫って来た。

そして腹部に強烈な痛みを感じた・・・。

自分の腹を確認すると・・・獣人の拳が俺の腹を貫いていた。


「ぅううううわわぁぁ〜〜〜〜〜。」


どのくらいの時間が経ったのだろうか、もう痛みは感じなかった・・・。

俺は何とか微かに動く腕に最後力を振り絞り仲間へ連絡を入れ・・・そのまま糸が切れるように手がストンと地面へ落ち力尽きた。



To:隆史『やばい にんそfんっg』

To:健太『隆史どうした?なにがあった。』

To:直人『同盟画面の人数が減っている。隆史が表示されてない・・・。』

To:健太『一旦、引き返えすぞ。』

To:直人『大変だ、亮平の表示も消えている。』



◇◆◇◆◇◆


〜涼真side〜


数時間前。


To:涼真『風馬くん、ナビルたち獣人3人とD級モンスター400体、E級モンスター400体をちょっと貸してくれないかい?』

To:風馬『いいですよ。そろそろ動くんですね。どこに向かわせればいいですか。』

To:涼真『僕の分拠点へ送ってもらえると助かるよ。』

To:風馬『了解ですよ。じゃあ、1時間以内にそっちに向かわせます。』

To:涼真『助かるよ。よろしくね。』



この数時間を使ってタネまきをしていた。

雑魚モンスターを向かわせ、敵の動きを確認していた。


1つは確実に狙えそうなターゲットを絞るために、もう1つは獣人たちを潜伏させるために。


「ターゲットは、この子(隆史)、この子(亮平)だな。」


相手の行動や戦闘を観察してターゲットを絞った。

ゴブリンたちを敵と領地で戦わせている隙に数時間掛けて獣人たちを少しずつ移動させ、狩り場近くのLv4領地で「待機」させた。


敵の注意力を少しでも下げる事と、この殲滅部隊の姿を絶対に敵へ見せないために何度にも分けて繰り返してモンスターを移動させた。


殲滅部隊は、この2つだ。

①ナビル、モンスター400体

②ジェイド、サミュエル、モンスター400体



結果は圧勝だったと思う。

4人中、2人逃してしまったが、ターゲットの2人は確実に討伐できた。

ゴブリンには大多数の被害が出たが、総戦力的に見れば微々たるものだ。

これで、暫く東側が静かになってくれればいいのだがと願うのだった。



いつの間にか、日本人を討伐して、モンスターを道具のように使い捨てても普通と化している俺たちがいた・・・・・しかし、それ自体もあまり気にしていない・・・。

精神安定プログラムが働いているとはいえ、段々とこの陣取りバトルに慣れきってしまっている・・・。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る