第141話 ペンジェンの街 つかの間の休息

 海に落ちたせいか、髪の毛がベタベタするし身体もべたついて不快だ、真水でシャワーなり浴びたいと思ったが、先に残っている残り28隻の船回収をする事にした。


 船を回収していて気づいた事があった。エノオン湖から流れている川がある事に!


 船をさっさと回収し川に向かった。


 エスティアとペンジェンを結ぶ街道を越え、人目の付かないところに行き、久々の水浴びをすることにした。


 そういや、シャドーウルフ達が影の中に居たな、水浴びする間少し遊ばせるか。


「シャドーウルフ達出ておいで」


 自分がそう言うと、影から3匹のシャドーウルフが飛び出してきた。


 そういや彼女たちに名前を付けたけど適当な名前だったな、自分の近くに居るならもう少し愛着のある名前にしてあげるか。


「君たちは雄雌どっちなのかな?」

「私らはみんな雌だ、それがどうかしたのか?」


 女の子か、影に隠れることが出来るし忍者っぽい名前がいいかな?パット思いついた1文字漢字の名前を彼女たちにつけることにした。


「みんなこっちにおいで、すで名前を与えているけど、自分の近くに居てくれるならってこともう1度名前与えてもいいかな?」

「あぁそれくらいなら」


 見た目が……区別つかない……、先ほど自分の問いに答えてくれた子は3匹の中ではリーダー格なのかなと思いながら、彼女の前にしゃがみ頭を撫でた。


「君が3匹の中のリーダーかな?」

「そうだ」


 よかった、当たっていた内心ほっとした。


「君にはカスミの名前をあげるよ」

「カスミか、主よ、ありがとう!」

「うん、2人を守ってあげてね」

「あぁもちろんだ!」


 カスミの性格は姉御肌と言った感じかな?


 次はどちらにしようかなと思ったら、1匹が次は私と言わんばかりに寄って来た。


「君はヒナだ」

「ヒナ!主ありがとう!」

「カスミを支えてあげてね」

「うん!」


 ヒナの性格は、元気っ子かな、カスミに比べて声も少し高い感じがした。


 最後は、と思っているとのんびりこっちに寄って来た。 

 

「わたしは~?」


 喋り方が、天然がはいってそうなおっとりんといった感じか?


「君はねノンだよ」

「わたしはノンね~ありがとう~」


 3匹の中ではあまり戦いに向いて無さそうだなと思った。


「ノンもカスミを支えてあげてね」

「もちろん~」


 ん~大丈夫かな……?

 とりあえず、見た目とは裏腹に可愛い名前になったが3匹の名前は霞(かすみ)雛(ひな)暖(のん)漢字にしたら1文字になる名前に統一してみた。


「んじゃ3匹とも悪いんだけど水浴びするから、周囲警戒しておいてくれる?獲物が居たら狩してアイテムボックスに入れておきな」

「了解」「OK!」「は~い」


 そう言って散るのかと思ったが、ノンだけは違った。


 カスミとヒナが森の中へと入って行ったのに、ノンだけは自分の近くで丸くなっていた。


「ノンだよね?いかないの?」

「わたしがあなたの護衛~」


 どうみても護衛しますよ、って態勢じゃないよねとか思った。


 まぁいいか……、気にしないことにした。


 服を全部脱ぎ、熱魔法をつかい適温にしながら川に浸かり、着ていた服を洗って水分魔法を使い乾かした。自分自身もささっと水浴びをしていると、ノンも川の中に飛び込んできた。


「ノン護衛じゃないの……?」

「おいしそうなおさかな~」


 護衛より食い意地!?

 もうノンは癒しキャラと思った方が良さそうだな……、ノンの事は放置してさっさと事を済ませた。


「ノン、カスミとヒナを呼び戻して」

「は~い、ワァオ~~~~~~~~~~~~ン」


 返事を返すと、そのまま遠吠えをしてくれた。


 しばらくするとカスミとヒナが戻ってきた。2匹とも口の周りが血染めになっている辺り何か獲物でもゲットしたのかな?


「何か収穫あったなら、この場で食べていていいよ」

「そうか、助かる」

「やった~」

「私の分は~?」


 案の定、カスミとヒナは、グレーダーボアとオークを狩っていた。


「ノンは狩れなかったの?」

「逃げられちゃった~」


 ヒナの問いに対してノンが逃げられたと答えていたけど、ノンお前ずっとここに居たよね……?


「仕方ないなぁ……、私のボアを半分やるよ」

「ありがとうカスミちゃんは優しいね~」

「私のオークも半分あげるよ!」

「ヒナちゃんもありがと~」


 ん~この3匹はこの個性だからうまく行っているのかな?


 3匹の食事を見て自分も適当にアイテムボックスから食べる物をだして口にした。


 日も傾き始めたな、そろそろダッスの所にいくか、3匹の食事が終わっていることを確認した。


「それじゃあ行こうか、3匹とも影に」

「了解」「OK!」「は~い」


 3匹が自分の影に飛び込んだのを確認した。


「エイダ」


 目の前にフッッと感じにエイダが姿を現した。


「はいなの~」

「ヴィンザーに伝言、ペンジェンに進軍して問題ない旨を伝えてくれる?集まるのは港にある建物で」

「了解なの~」


 それだけ告げ気配を消した。


「主よ伝言位なら我らが……」

「ヴィンザーの姿を知らんでしょうに……」

「それもそうか……」

「まぁエイダは小さいから目立たないっていう利点もあるからね、君たちに頼むときは頼むから」

「了解」


 さてと、ダッスの所へ行こう。

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