黄金の剣

 「オレの頭を叩いたのが例の高級武器なのか?」


 オレは頭を押さえながらリザが持っている剣を見上げる。


 回復魔法を使いたくなる痛みだ。


「見て驚く!聞いてさらに驚く!これが私の愛刀!!」


 リザは自慢の愛刀を天高らかに掲げて声を張り上げる。


黄金おうごんつるぎ!」


「敵にばれるから静かにして」


「あれ?驚かないの?感想はないの?」


「金色だなぁ~だけじゃダメ?」


「……ぐすっ」


「!」


 えっ!泣いてる?

 自慢の剣に興味を持ってもらえないことに悲しんでいる?


「ええっと。ごめん」


「謝らなくていいよ。その代わり感想を聞かせて。もしくは質問でいいからぁー!」


 なんだかめんどうくさい女だな。

 めんどうくさいというか子供だな。


「そうだな。そんな大きな剣を振り回せるのか?」


 リザの愛刀は身の丈以上の大剣だ。

 大剣だけあって刀身の幅も大きい。

 普通に構えるだけで盾になりそうだ。


「大丈夫だよ!私に合わせて作っているから!」


「オーダーメイドか。なんだか高そうだな」


「高いよーびっくりするぐらい高いよー」


「そんな高級品を取られたのか。アホだな」


「作戦なの!」


「あと単純な疑問なんだが、名前安直すぎないか?」


「黄金の剣」


 名前が平凡すぎる。

 見たまんまだ。


「ほかになかったのか?」


「例えば?」


「ゴールデンソードとか?」


「ダサい」


「バトルゴールデン」


「重ねてダサい」


「ゴールドクレイモア」


「加えてダサい」


「ゴールデンゴールドブレード」


「足してもダサい」


「ゴルソ」


「引いてもダサい」


「ダサいか」


「わかった?変に考え込んだ名前にしてもダサいだけだよ」


「オレにはネーミングセンスがないのか」


「大丈夫だよ。君以外もほとんど全員ないから」


 オレあの杖に名前つけようとか考えていたんだけどやめようかな。


「私の剣は見つけたから次は君の杖だね。探しに行こう!」


「うん。見つけたら平凡な名前つける」


「黄金の剣はかっこいい名前だよ。平凡じゃないよ」


「じゃあ、ダサくなくてかっこいい名前をつける」


「私がつけてあげようか!」


「いい案が出なかったらな」

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