第13話

「ふわぁ……」

 

「んんぅ……」

 

 要塞城へと住んでいる僕とマキナは排他的で、自堕落な生活を送っていた。


「アルぅ……」


「ん?」


「お腹空いたなぁ……」


「ん。もう朝になっているのか……」

 

 裸でマキナと二人、ベッドの中でぬくぬくしていた僕はゆっくりとベッドから起き上がり、魔法を発動して朝食を用意していく。

 寝室から離れた場所にあるキッチンにある食料や器具を使って料理し、お皿に盛りつけて寝室まで運んでくる。

 僕の魔法技術は世界一であると自負していて、自分の生活をすべて魔法で行うことが出来るくらい手足のように魔法を使うことが出来る。


「んー。やっぱりアルは魔法を器用に使うよね……私が授けてあげた魔法だけど、使い方ならアルの方がうまそう」


「まぁ、出力は全然違うけどね……」

 

 僕とマキナじゃ出力のレベルは全然違う。びっくりするくらいに出力が違う……悲しくなるくらいにね。


「あ、来た。いつもありがと」


「ん」

 

 僕はマキナのお礼に頷き、美味しそうに僕の作った料理を食べるマキナを見て心が癒される。

 

「この後どうする?近くにあった湖にまでピクニックにでも行く?」


「あ!それ良いわね!ピクニックならやっぱりお弁当よね!一緒にお弁当を作りましょ?」


「うん。そうしよ。いいね。ふたりで料理をするのは久しぶりじゃないかな?」

 

 僕はマキナの言葉に頷く。


「……うぅ。いつも料理を任せきりにしちゃってごめんね?」


「良いの、良いの。僕がやりたくてやっているんだし。マキナのためなら料理なんて全然苦じゃないよ」

 

 料理、洗濯、掃除……家事はすべて僕が行っているし、本来マキナが行うべき仕事もすべて僕が行っている。 

 マキナは僕なしには生きていくことさえ難しい……彼女は今、そんな状況。

 でも、これだけじゃ満足できないのだ。

 だって……結局たった一つの肝心なところに僕は手が届かなかったのだから。


「ふふふ。ピクニック楽しみね!」


「うん。そうだね」

 

 僕はマキナの言葉にうなずいた。

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