第12話

「やぁ、よく来たね。マキナ」

 

 北方の要塞城。

 もはや僕以外誰もいなくなった要塞城へと魔法であるマキナがやってきた。


「アルーッ!久しぶり!」

 

 僕がずっとここにこもっていた関係で長いこと会えていなかったせいでさみしい思いをさせてしまっていたマキナが僕に抱き着き、自身の頭を僕にこすりつけてくる。


「なんで!?なんで今まで私に会ってくれなかったの!?あの女を連れてこんなところにいて!何?浮気?浮気なの?」

 

 瞳からハイライトを失わせたマキナが僕に詰め寄ってくる。

 

「ふふふ。そんなわけないじゃん。僕はマキナが好きなんだから」


「嘘!じゃあ、なんでアルは私を遠ざけるの?私はこんなにもアルのことが好きで、ずっと痛いのに……なんでアルは私を捨てるの!?捨てないでよぉ!ずっと!ずっと私を好きで……!」


 ……じゃあ、なんでマキナは僕のもとに押しかけてきてくれないんだろうね。


「ごめんね。今まで寂しい思いさせて。でも、そんな思いにさせちゃうのは今日までだよ?すでに仕事は全自動魔法で僕が直接やる必要ないし、やることない!ここには誰もいないし、周りに人もいない自然豊かな場所!二人の愛の巣としては最適じゃない?」


「……ッ!そうね!」

 

 僕の言葉を聞いたマキナが瞳を輝かせて僕の言葉にうなずく。

 

「ここで一生二人で楽しく……過ごそうね?」

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