第34話

 明後日。

 あまりにも急すぎる日程を前に僕たちは慌てたが……よくよく考えてみれば別に何か準備が必要でもなかったことを思い出し、落ち着く。


「さて、ミリーナは道具の最終チェック。勇者は良い感じに仲間たちを誤魔化して……そして、レクスは妾と一緒に怪物を封印した場所の下見に行くのじゃ」


「「「了解」」」

  

 リーゼさんの言葉に僕たち三人は頷き、各々行動を開始する。


「ほれ、行くぞ。レクス」


「了解」

 

 僕とリーゼさんは立ち上がり、今いる部屋から出た。

 

 ■■■■■


 辺境の地に聳え立つ人気のない山の麓。

 そこに存在している巨大な洞窟に僕とリーゼさんはやってきていた。


「これが……」

 

 巨大な洞窟。

 一つの結晶に覆われているの怪物が圧倒的な存在感を現していた。


「本当にデカいな」

 

 パッと見の大きさは小さめの一軒家くらいの大きさはあるように見える。

 全身を黒い皮膚に覆われている黒い巨人であり、腕は4つ。背中からは大きな翼が生え、頭部にはポッカリと中央に穴の空いた巨大な球体が存在している。

 下半身からは幾つもの触手のようなものが渦巻いており、触手には大量の小さな刃がついているように見える。

 普通にゲームのラスボスになりうるだけの見た目を持った怪物が今、僕の目の前に存在していた。


「こんな化け物を作れる一族などまるで理解出来ぬのぅ……あやつらの一族が世界最強の一族なんじゃないかと思うわ」


「……同意」

 

 僕はリーゼさんの言葉に頷く。


「うむ……封印は問題なく起動しておる。後は明日のためのトラップを容易して、とじゃな」


「そうだね」


 僕とリーゼさんが明日のために罠などの仕掛けを施すために動き出したその時。


「「……ッ!?!?」」

 

 膨大なエネルギーがこの洞窟全体を叩きつけ、空間を震わせる。


 ピシッ!!!


 そして、怪物を封印していた結晶に大きなヒビが入る。


「封印がッ!?」


「今すぐに勇者共を呼んでくるのじゃッ!!!足止めは私がするのじゃ!」


「……ッ!?で、でもッ!?」


「良いから行くのじゃ!お主は足手まといじゃ!」


「……ッ!わ、わかった」

 

 僕はリーゼさんの言葉に頷き、慌てて街の方へと向かった。

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