第14話
それから数時間。
僕はなんとかアジトの掃除とリフォームを終えた。
「おー、すごい!」
「よくやるのぅ」
……リフォームと言っても大したことは出来ていないが。
部屋にあった大量の粗大ごみを片づけ、ここにあった家具をいい感じに配置し、あたまたあったスプレー缶とかで殺風景な壁にいい感じに落書きしてそれっぽく見せただけ。
まぁ、課金してなんか勝手に素材が沸き上がってこない世界ならこれが限界かな。うん。
ちなみにここにあったほとんどのものがゴミだった。
ゴミは全部リーゼさんが魔法で塵に変えていた。
「この辺でいいよね。まぁまぁ、頑張ったでしょ、僕」
今、僕に与えられている少ない手札の中で最大限に頑張れたのではなかろうか。うん。
良い感じに落書きもできたし……うん!頑張った!
「というか、ベッド捨てちゃったけど、どうするの……?」
ここに置かれていたベッド。
なんかシンプルなベッドで全然この場にマッチしていなかったから捨ててしまった。
それに対してミリーナさんが口を開く。
「いや、別に僕はここで寝ないし」
「妾はいつも通りソファーに寝るからのぅ」
それに対する答えは僕もミリーナさんも冷たかった。
「え?私はどう寝れば?」
「「……」」
僕とリーゼさんの視線。
それは奇しくも完全に一致していた。
「へ?」
視線の先にあるのは床。
「わ、私は床で眠れと?」
震える声で呟かれるミリーナさんの言葉。
「「うん」」
僕とリーゼさんはマリーナさんの言葉に頷く。
「……」
それを前にミリーナさんは完全に固まり、唖然とする。
「あっ、じゃあそろそろ僕は戻りたいんだけど。夜のシフトが始まっちゃう」
「おー。そうか、そうか。それはすまんかったのぅ。今から転移で元の場所に戻すのじゃ。仕事が終わったら……いや、明日の朝に出会った場所に来てほしいのじゃ」
「うん。わかった」
「ほれ、では行くぞい……」
リーゼさんは……転移魔法を発動し、一緒に元の場所へと向かった。
■■■■■
「へ?」
アジトには……完全に置いてけぼりにされたかわいそうなミリーナが残った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます