第11話
「なるほど……ん?怪物についての話なんて僕は聞いたことがないけど……今、そいつはどうしているの?」
「ここからは私が話した方が良いじゃろう」
ミリーナさんの僕への説明。それをリーゼさんが受け継ぐ。
「今、その怪物は妾の手で封印されている」
「封印?そんなことが出来たんですか?」
僕の質問。
それに対してリーゼさんは自信満々と言った表情で胸を張って言葉を話す。
「もはや今、この世界に知らない人はいないと言っても良い人類の叛逆者として語り続けられる『蒼の魔女』とは妾のことである!その妾の力でもってすれば封印など容易い!」
「は、はぁ……」
僕はリーゼさんの言葉に頷く。
「し、信じておらぬな?」
「い、いや……蒼の魔女はグラマスな女性だった、と」
「ふん!忌々しい!妾がこんな見た目となったのも化け物のせいじゃ!妾は本来ボン・キュッ・ボンじゃ!!!」
僕の言葉にリーゼさんは言葉を吐き捨てる。
「説明するのもめんどうになってきたわい。すっごく簡単に言うと、今妾の力で封印している怪物を倒すための切り札をお主が飲んでしまったのじゃ!」
話をこれ以上ないまでにスッキリまとめたリーゼさんはたった一言で説明を終わらせる。
うん。僕はもともと何もかもを知っているから、これだけでも十分である。
『蒼の魔女』は元よりアルビノである自分の妹を守るためにあえて暴れ、ヘイトを集めて他のアルビノに注意を向けられないようにし、宗教から妹を守ろうとした。
だが、宗教の力はあまりにも絶大だった。
結局妹は殺され、自身も致命傷レベルの傷を負う。
何もかもに絶望した彼女は自身を封印して永遠の眠りに着いた。現実から逃げるように。
だったのだが、突如として現れた怪物に力をごっそりと奪われて封印も解除され、何百年ぶりに彼女は目覚めてしまう。
何もかもに絶望している状態だったリーゼさんはそのまま怪物に殺されようとしたのだが、その時ちょうど絶望に泣いているミリーナさんを見つけ、その姿が過去の自分と繋がったリーゼさんは彼女を助けたいと願って久しぶりに力を振るって怪物を封印したのである。
だが、彼女の力では封印するだけが限度で、倒せない。そして、一生封印しているだけの力もない。
そのため、怪物を討伐出来るように様々な道具を集め、己を鍛える旅に出た。
というのが大まかな二人のストーリーである。
「そんな雑な説明!?」
「なるほど。わかった」
「わかったの!?」
ミリーナさんは僕の言葉を前に叫ぶ。
ナイスツッコミ!
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