第8話
「は、はぁ……じゃ、じゃあ自分から。僕はレイク。知っての通り飲食店ニーアに勤めている人です。以前あった戦乱のせいで税収が高騰……税金を払えなくて困っていた村が資金調達のために僕を売ろうとしているのを知り、王都に上京してきました」
僕は偽名を名乗り、自己の設定を語る。
ちゃんと税金払えなくて困って、村の子供を売ろうとしている村を見つけて、そこの村を魔物に襲わせて壊滅させておいた。
これで戸籍がない現代において僕がそこの村出身であることを否定出来る材料は限りなく少なくなっていた。
基本的に村から人が出るってのも稀……というかないからね。
この世界、魔物はいるけど冒険者はいない。
異世界ファンタジーにおいて平民が成り上がるためには最適な組織として役割を果たしているけど、その組織がない以上平民が成り上がるとか不可能に近く、たとえ貧しくとも村から出てくることはありえない。
自分で行商人になるっての選択肢にはないし。
商人になるには商人の子として生まれるしかない。
現代日本でも起業して成功するのは難しいのに、異世界で起業して成功できるわけがない。
「……上京がうまくいったのね。よ、よくここまで来れたわね?」
「ははは。ここまで来れた理由は黙秘させてもらいますよ」
僕は金髪の女性
ちなみに一年ほど前に国を騒動の渦に叩き落とした新参気鋭の盗賊団がいたのが、すでに盗賊団は壊滅しているが、いまだにその首魁は捕まっていない。
そういうことだ。
「じゃあ、つぎは私ね。私の名前はミリーナ……まぁ、それ以外に特に話すことはないわね」
「であろうな……というより、我らの自己紹介はひとまず簡略化させてもらうのじゃ。詳細は後程話す。それでじゃが。妾の名前はリーゼ」
のじゃロリっ子……リーゼさんは立ち上がって僕の前に立つ。
「そして……妾はこういう者じゃ」
今までずっとかぶって頭を隠していたフードをとって髪を見せる。
この場に輝くのは長い白髪。
「アル……ビノ?」
白い髪。
それを前に思いつくのはアルビノ。しかし、その瞳は青色であり、赤くはなかった。
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