幕門2
「マキナ……」
僕はため息混じりにマキナの名前を呼ぶ。
「うぅ……」
それに対してマキナは恥ずかしげに声を漏らし、顔を下へと向ける。
「一体、どういうことなの?これ」
なんか爆発し、壁にまで大きく穴が空いているキッチンを呼び指し、僕はマキナへと尋ねる。
「え、え、え、えっと、ね?私は……そのつ、疲れて帰ってくるアルのために夕ご飯を用意してあげようと思って……」
「うん。うん。それで?その心意気は事情に嬉しいものだよ?ありがとね」
将来、マキナが魔王を目指して戦っていく際、うまくスムーズに戦いを行えるよう、お金稼ぎ並びに暗躍の下準備を僕は行っている。
それから帰ってきた時、マキナが夜ご飯を作って待っていてくれたらどれほど嬉しいことだろうか。
「それで頑張ったんだけど……なんか爆発しちゃって……」
「……何故?」
なにがどうあったら爆発するなどと言ってことになるのだろうか?
魔道具を使えば適切な火力が出るはずだけど……爆発する理由がまるでわからない。
「どうやら私の魔力が多すぎるみたいで……なんか魔道具が爆発しちゃって……が、頑張って出力は抑えたんだよ!?」
「ふむ」
なるほど。
つまり、マキナは存在チートだってことか。
魔道具を吹き飛ばすとかどんな火力をしているんだ……?いくらなんでも化け物スペックすぎないか……?
流石は将来魔王になると言ったところだろうか?
「マキナ、マキナ」
「は、はい!」
「料理禁止ね」
「……はい」
僕の言葉を聞いたマキナは頷く。有無は言わないだろう。
「直すのも僕がやるからマキナは良いよ」
「うん」
僕は立ち上がり、爆発して黒焦げになるどころか壁に穴まで空いてしまったキッチンへと向かう。
「やるかぁ」
今、僕とマキナが暮らしている家は僕が魔法で作ったものだ……だからこそ直すこともまぁ出来る。
「ん」
僕はしゅんとしているマキナを横目に作業を開始する。
ちっ。役に立たない道具だこと。
「……」
今のところ何の役にも立っていないマキナを忌々しく思うと同時に……どこかそんなマキナを尊いと考えている僕もいた。
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