第50話
ダグラスを殺した僕。
そんな僕であるが……心臓を無理やり動かし、胸をぶっすりと貫かれた僕に残ったダメージは大きかった。
「ふーふっ……ふーはぁ……ふー」
どれだけの回復魔法を使っても僕のダメージを完全になくすことはできなかった。
『アルッ!!!アルッ!!!お願いッ!死なないでッ!」
「……な……っ、……」
死なないよ。
そう言いたかった僕だが、口は思うように動かわず、そのまま意識は黒く染まった。
■■■■■
僕が気絶してからどれほど経っただろうか。
「アルッ!アルッ!アルッ!!!」
「……マ、キナッ」
僕は自分の名前を呼ぶマキナの声を聞き、意識はゆっくりと持ち上がっていく。
「アルッ!?起きたのねッ!!!良かった……良かった。良かったよぉ……」
僕の瞳は自分にすがりつき、涙を流しているマキナの姿を確認する。
「こ、こんな馬鹿なことをしないでよぉ!ありえない……お願い、お願いだから私を置いて死なないでよ……お願いだから」
「ごめん……」
僕は素直に謝罪の言葉を口にする。
思ったよりも僕の体は耐えきれなかった。
一応、全て僕の予想通りの流れで進み、戦いも何の問題もなく自分の思い通りに進んだ。
ちょっと思ったよりも心臓をずらすのが自分の負担になっただけで。
ゲームだと結構バンバン戦術の一つとして人類が使っていたし、実際に試してみていけたから何の問題もないと思ったけど、普通に問題だった。
「良いの……生きてくれたなら。本当に良かった」
僕は自分にすがり、泣いてくれるマキナの頭をゆっくりと撫でた。
「ふふ……」
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