第22話
突如として切って落とされた戦争。
魔族たちにとって誰もが目を離せない公爵家同士の大きな戦争。
この戦いは今後の魔王戦に大きく作用する重要な戦いである……だからこそ、アースライト家の戦士たちは大きく湧き上がり、一瞬で敵を殲滅すると意気込んでいた。
しかし。
「……本当にこれで良いの?」
マキナの命令……と言う皮を被った僕の命令によって攻めることは禁止され、相手が攻めてきた時、防衛する以外のきょかを出されていなかった。
「みんな、結構不満が溜まっていると思うんだけど……」
「良いんだよ。というかこれしか方法はない」
僕はマキナの疑問に対してそう答える。
「あまりにもマキナのところの魔族たち脳筋すぎるんだよ。小隊たくさん作って相手が攻めてきたところに小隊送ってボコして帰ってくるってやり方が一番良い」
攻めると守るを両立して考えられるような人は居ないから、顰蹙を買ったとしても守るに意識を全振りさせた方が良い。
確実に他の家の人たちは一番の戦力を保有しているアースライト家をフルボッコにしようとしているだろうからね。
これから守るのもどんどん厳しくなり……戦いたくてしょうがない狂戦士共も満足出来るくらい戦い漬けの毎日になっていくだろう。
「でも、これじゃ勝てなくない?」
「何も勝ち方ってのは真正面から撃ち落とすことだけが勝ち方じゃないよ。暗躍、謀略、策略でいくらでも勝ちを拾える」
他の三家がアークライト家よりもマーキュリー家を脅威と感じ、リンチするように裏から手を回すだけでも勝利出来る。
まぁ……僕は欲張りさんだからそんな程度の勝利じゃ満足出来ないけど。
「ほんと?……えへへ。すごいんだね。アルは」
「ははは。頭使うことくらいしか僕に出来ることはないからね。どう戦争するか。それについては僕に任せてくれていいよ。安心して。配下たちの不満もすぐになくなるからさ」
現状。
すべて上手く行っている。うまく行かないはずがない。
結局のところ魔族の連中は筋肉で考えている奴らが多く、頭を使っている人たちでさえ筋肉に侵食されているから、頭脳戦という意味で僕に勝てる存在は居ない。
ただの高校生でしかない僕に。
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