第21話
公爵家当主同士で行われる会議。
その会議の内容は多岐に渡る。経済的なことだったり、領地的なことだったり。そのどれもが重要なことであり、マキナは僕がこっそり渡しているカンペを使って頑張っていた。
会議は実にスムーズに進み、必要なことがサクサクと決まっていく。
「ふむ。これで一通り必要なことは話し終えたな」
会議を取り仕切っていたアークライトが三時間の長い会議の終わりの言葉を告げる。
「ふむ……何か、諸君が話したいことはないかい?」
アークライトが他の四人を見て口を開く。
「わしはそろそろ変えるべきじゃと思うじゃ」
マンルスが口を開き、立ち上がる。
「魔王を決定するための戦いの、な」
その言葉。
マンルスの放ったその言葉がその場の雰囲気をガラリと一変させる。
「確かにわしら……全員はそうするべきじゃと考えておる……しかし、どうするというのじゃ?」
アルゴンがマンルスの方へと視線を送り……静かに視線を光らせる。
「なぁに……こういうことじゃッ!」
「何のつもりでしょうか?マンルス様」
僕の手に握られている聖剣がマンルスの手より伸びる短剣を防ぐ。
「ァ?」
「「おぉー」」
「……む」
あっさりと一撃を防いだ僕に対して四人の公爵家当主が驚愕する。
「その行動は……我が家への宣戦布告と捉えても構わぬと?」
マキナはマンルスを睨みつけ、敵意を顕にする。
「ふっ。そういうことじゃけぇ。単細胞すぎてわからぬか?ん?」
マンルスは
「くくく……良いじゃないか。うん。素晴らしい。ようやく話が進むというのならば良いではないか!大いに結構!アースライト家とマーキュリー家の戦いッ!偉大なる戦いッ!あぁ!素晴らしき戦いを見ようではないか!私を含めた他の三家は出だし無用!どうだろうか?」
アークライトは大きな声で話し、他の二人へと確認をとる。
「「異議なし」」
他の二人はアークライトの言葉に同意し、静観の構えを表面上に見せる。
「よぉし!これで戦争だァ!始まりじゃァ!!!」
マンルスは楽しそうに言葉を叫んだ。
聖剣を収め、一歩足を引いた僕は熱狂の中にいる公爵家当主たちを見て内心ほくそ笑む。
「……」
第一関門クリア。
全てはマキナが魔王になるため。僕は闇に潜み、暗躍を続ける。
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