第15話

「いやはや……あの御方もエゲツないことをお考えになさる」

 

 マキナ……アースライト公爵家に隣接しているとある領地。

 アルミルト子爵家の領地へとテンゴンはやってきた。

 テンゴンはせこせこをお仕事をしながらここに来る前に言われたアルの言葉を思い出す。


『良いか?価値のあるものを売るってのは短期的にお金を稼ぐのに効率が悪いんだよ。無価値のものに価値を与えて売った方が効率良く短期的にお金を稼ぐことが出来る。長期的に見れば別かもしれないけどな……俺がお前にあげた指輪。俺が作った何の価値もない奴なんだよ』

 

 彼の口から出てくるのは水に付加価値をつけた水素水や、なんの変哲もないただの札に宗教的な価値をつけた免罪符やおみくじなど。

 おおよそ人が思いつけるあくどいことを遥かに超えるような数々を平然と口から出てくるのである。

 

「……魔王に君臨するのは間違いなくマキナ様だろうな」


 あんな悪魔のような少年を味方につけている一派が敗北する理由などないだろう。


「私は仕事をしませんと……切り捨てられるわけにはいきませんから」

 

 テンゴンはあの悪魔のような笑みとエゲツない命令文を頭に浮かべながら、暗躍を開始した。


 ■■■■■


「くっちゅん……あれ?誰か僕の噂をしているのかな……?」


 ■■■■■


「くしゃみかわいい……」

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