第7話
というわけで。
ものすごく唐突に始まったマキナVSマキナの兄。
このお城の中庭にあるスペースで二人は向き合う。
一触即発の雰囲気。
そんな中。
えー。観客におりますは僕と魔族の方々。
ただの脆弱な人間が魔族に囲まれている……これ以上ないまでに居心地が悪い。信じられないまでに居心地が悪い。
殺してくれぇ!って叫ぶレベルに居心地が悪い。絶対に死にたくないけど
「失敗作の卑怯者が……ッ!今、ここで!俺が天誅を下す!」
己の手に巨大な大剣を握り、それをぶん回すマキナの兄。
マキナと向き合っている中、敵意むき出しで口を開き、戦意をこれ以上ないまでに高ぶらせる。
「声をあげろッ!野郎どもォ!」
「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」
大剣を振り回すマキナの兄は観客たちの方へと声をあげ……それに答えるように魔族たちが声を張り上げる。
「弱い犬ほどよく吠えるとは上手い言葉ね。ここまで間違いのない言葉も珍しいんじゃないかしら?」
圧倒的なまでの威圧感を持ち、口を開くマキナ。
彼女の言葉に歓声は上がらない。マキナの兄が盛り上げた空気を一瞬で消化してみせる。
周りの観客はマキナに対し、複雑な感情のこもった視線を投げかけていた。
「二度と口を開けねぇようにしてやる……」
二人の戦いに審判は居ない。ただの殺し合い。
マキナの兄は大地を蹴り、マキナの方へと大剣を振るうことで戦いは始まる。
「……」
マキナが戦いで負けるはずがない。
そこにおいて僕は全幅の信頼を置いている。彼女は既にゲームに出てきた魔王に近い実力を持っている。
ゲーム出てきた魔王軍最大幹部である四天王をフルボッコに出来るほどの実力を既に有している。
負けるはずがないだろう……で、あるのであれば僕がやるべきは応援でなく、暗躍だろう。
僕は観客席から抜け、人の少ない……注目の集まっていない隅っこの方へと移動する。
そんな僕へと近づいてくる男が一人。
「少し……お話よろしいですかな?」
「ふっ。待ってたよ」
自身に話しかけてきた金の匂いを察知出来る魔族の男が一人。
僕は目の前の男を前に小さな笑みを浮かべた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます