麗奈の話④
「まだ、わかんないよ。何回もしてみたらわかるかも。今日一回じゃわかんないよ」
って、言われたんだ。
「そっか…。じゃあ、次も頑張るから」
何を頑張るつもりだったかは、知らない。
それから、何度も肌を重ねた。
重ねる度に、私は小さくなっていく。
カラカラは、酷くなっていく。
だんだんと、行為じたいが空しくなってきたある日、私は…。
「いつになったら、和利君の彼女になれるの?」
「えー、まだだよ。もう少ししたら、麗奈を好きになれそうだから待っててよ」
「会うのは、ホテルばっかりじゃん。デートしたいよ」
「じゃあ、仕方ないね」
「仕方ないって何?」
「終わらせたいって事だろ?」
そんな簡単に言わないでよ。
「和利君」
「何で、麗奈が泣いてんの?泣きたいのは、俺だよ」
「何で?」
「いらないって言われて傷ついてるんだよ」
嘘だよ、傷ついてないよ。
和利君は、傷ついてない。
「私は、和利君のお人形さんなの?」
「違うよ!ちゃんと、人間だよ」
「私、もう無理」
「だったら、仕方ないね」
そう言って、ホテルを出た。
触れるか触れない距離は、ずっと保たれてて…。
私は、この手を握りしめる存在にはなれなかった。
「じゃあね、麗奈」
「うん」
そう言って、和利君は私を見ずにいなくなった。
それから、私のスタイルは彼と同じになった。
12年後、和利君から突然連絡がきた。
「麗奈、元気?」
「和利君!元気だよ」
「また、エッチしようぜ!麗奈」
「……。そうだね」
あー、私。
まだ、彼を好きだったんだ。
「麗奈も、30超えてエッチうまくなってるだろ?」
「かもね」
ピキピキって、ヒビが入ってくのがわかった。
「じゃあ、また連絡するわ」
「うん」
パリッて、聞こえた気がした。
そんな時に、友達に紹介されたのが和人だった。
同じ名前に、驚いた。
でも、私はこの和人の優しさを利用したんだ。
「たまには、デートしたいな」
「今度ね」
「いつになったら、麗奈ちゃんの彼氏になれる?」
「そのうちね」
私は、和利君と同じ事を和人に言っていた。
「麗奈ちゃん、俺の事好き?」
「まだ、好きじゃないかも」
私はね、体から始まるんだよ恋がって言って、和人を誘った。
「麗奈ちゃん、キス駄目?」
「だーめ」
和利君は、一度もキスをしてくれなかった。
「何で、駄目?」
「付き合ってからだよ」
「わかった」
和人は、そう言って目を伏せた。
「もう、一年だよ。そろそろ付き合える?」
「まだ、もう少し」
「まだなの?」
「後、少しで好きになれるんだよ」
そう言って、和人を振り回した。
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